灯籠祭(読み)とうろうまつり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「灯籠祭」の意味・わかりやすい解説

灯籠祭
とうろうまつり

祭礼にあたって神社の境内参道などの灯籠に火をともす例は多いが、それが中心行事になっている祭り。熊本県山鹿(やまが)市大宮神社のものが著名。これは、室町時代山鹿温泉の復活に功のあった宥明(ゆうめい)法印追善のため、金剛乗寺が町の紙細工師に紙灯籠をつくらせて供えたのが始まりだという。神仏分離後は寺は関与しない。8月(もと旧暦7月)16日は踊り灯籠を先頭に道楽(みちがく)が続き、町内や個人の灯籠も行列を組んで神社に練り込み、社前で献灯の式、終わって裏の広場に並べる。灯籠は改めて神社の灯籠殿に納め、1年後に希望者にくじによって払い下げる。灯籠の精巧なのが特色で、骨をまったく使わず紙だけでつくったものである。

[井之口章次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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