外国為替相場の変動によって被る損失のこと。変動為替相場制のもとでは、対外的な受け払いを外貨建てで行うと、つねに為替リスクにさらされる。たとえば貿易業者が輸出をする場合、契約成立から代金回収までには時間がかかるので、この間に為替相場が変動し、為替リスクが生まれる可能性がある。いま為替相場が輸出契約成立時点では1ドル=110円であったのが、代金回収時点では1ドル=105円になったとすると、1ドルにつき5円の為替差損が発生することになる。このような為替リスクを回避するために、貿易業者は一般に契約が成立するとただちに外国為替を取り扱う銀行に為替予約(先物(さきもの)為替取引)をする。こうした為替リスク対策は金利裁定のような短期的な資金運用においても行われる。なぜなら、投資時点と元利回収時点の間で為替相場が変動する可能性があるからである。為替相場の変動によっては為替差益を生むこともあるが、投機を目的としない限り、リスク回避策をとるのが普通である。
[土屋六郎]
(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)
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…5年後の返済時に為替相場が変化していると,そこに為替差益ないし差損が生じることになる。一般に,輸出入取引などから生じる短期の外貨建債権・債務については,こうした為替相場の変動に伴う為替リスク(とくに為替差損)を回避し,自国通貨建てで採算を確定するためには先物予約(将来の一定時点で行う外国為替売買の契約)が行われる。しかし,1年を超える先物予約は通常,なかなか困難なので,外貨建債権をもつものは外貨借入れを行うとか,外貨建債務を負うものは外貨建債権(たとえば外貨証券への投資)をもつことによって,そのリスクを回避する。…
…外貨建ての債権・債務を保有することから生じうる危険(為替リスク)を回避するための取引のこと。先物外国為替市場を利用することが多く,この場合をとくに先物カバーforward coverと呼ぶこともある。…
…銀行の持高調整のための取引は,たとえばその目的で円を対価にしてドルの先物為替の買手当をしようとしても,その出合いを見いだすことができない場合,まず直物為替でドル買い・円売りの取引を行い,それと同時に同額のスワップ取引,すなわち直物為替でドル売り・円買いの取引と先物為替でドル買い・円売りの取引を行えば,結果としてドルの先物為替の買手当をしたことになる。一般の企業も,短期の対外証券投資や外貨借入れなどに際して,為替相場の変動リスク(為替リスク)を回避し,採算を確定するために取引銀行との間でこうしたスワップ取引を行っている。なお,このようなスワップ取引において直物為替取引と反対方向で行われる先物為替取引と区別し,それ自体独立して行われる先物為替の売買を通常アウトライト取引outright transactionという。…
※「為替リスク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...
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