為替差益(読み)かわせさえき(英語表記)foreign exchange gains

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

為替差益
かわせさえき
foreign exchange gains

外国為替相場の変動によって生じる利益。一般に外国為替相場が外国通貨に対し自国通貨安に振れると、為替差益が生じるケースが多い。日本円とアメリカドルを例にとって日本円を基準に考えると、1万ドルで購入した商品は外国為替相場が1ドル=80円ならば80万円の価値があるが、1ドル=100円の円安に変動すると100万円の価値となる。この差額の20万円が為替差益にあたる。不況期などに景気を刺激することを目的に、経済対策の一環として自国通貨安政策をとる国が多い。とくに輸出産業、外貨建て資産や売上げ、アメリカドルを基準に国際市況が決まる非鉄金属などの商品で、自国通貨安の場合に為替差益が生じる。なお、為替差益とは反対に、外国為替レートの変動によって生じる損失を為替差損foreign exchange lossesという。

 輸出企業の場合、自国通貨安になると、外貨建て売上げの自国通貨による換算値が増えるため採算が好転し、為替差益が生じる。2014年(平成26)時点のトヨタ自動車の場合では1ドルあたり1円外国為替相場が円安になれば400億ドルの為替差益が発生するとされるなど、輸出型産業で為替差益が生じる企業が多い。外貨預金などの外貨建て資産でも、外国為替相場が自国通貨安になると為替差益が生じる。なお外貨建て資産の為替差益は所得税の課税対象であり、外貨預金は「総合課税」、外国為替証拠金取引(FX)の場合は「申告分離課税」または「総合課税」となる。このほかアメリカドルを基準にして国際価格が決まる金、プラチナ、銅、アルミなどの非鉄金属などの商品でも、アメリカドルに対して自国通貨安に外国為替相場が変動すると、為替差益が生じる。

 なお、会計上、期末時点の為替相場変動による外貨建て売上げの為替差益(為替差損)は、営業外利益(営業外損失)として計上される。海外子会社などの資産は、資産取得時と期末時の外国為替相場の変動によって為替差益(為替差損)が生じるが、これは為替換算調整勘定として自己資本に計上するため、自国通貨安は自己資本の押し上げ要因、自国通貨高は自己資本の目減り要因となる。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

かわせ‐さえき かはせ‥【為替差益】

〘名〙 為替相場の変動によって生じた利得。⇔為替差損

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

国民投票法

正式名称は「日本国憲法の改正手続に関する法律」。平成19年法律第51号。2007年(平成19)5月18日に制定され、施行は3年後の2010年5月18日である。この法律は、日本国憲法第96条に定める日本...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android