無慙(読み)むざん

精選版 日本国語大辞典 「無慙」の意味・読み・例文・類語

む‐ざん【無慙・無慚・無惨・無残】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 仏語。罪を犯しながら、みずからを省みて恥じないこと。後世、多く「破戒無慙」「放逸無慙」などと熟して用いる。むぞう。→無愧(むき)
    1. [初出の実例]「愚痴・無慚・徒受信施、他物不償者、受此報」(出典往生要集(984‐985)大文一)
    2. [その他の文献]〔倶舎論‐四〕
  3. 残酷であること。乱暴なこと。また、そのさま。むぞう。
    1. [初出の実例]「薪につみこめて焼殺せし事こそ、無慚にはおぼゆれ」(出典:日蓮遺文‐報恩抄(1276))
  4. 残酷な状態にあっていたましいこと。また、そのさま。深く同情すべきさま。不憫。気の毒。むぞう。
    1. [初出の実例]「無常の郷とは云ながら無慚なりける別かな」(出典:海道記(1223頃)木瀬川より竹の下)
    2. 「有様のいと無残(ムザン)なるに見すごしかね」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙一六)

む‐ぞう‥ザウ【無慙】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「むざん(無慙)」の変化した語 )
  2. むざん(無慙)
    1. [初出の実例]「かかるつみをのみつくりしが、むざうにおぼえて」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一〇)
  3. むざん(無慙)
    1. [初出の実例]「むざうの申やうかな。ゆゆしきつみにも候」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)三)
  4. むざん(無慙)
    1. [初出の実例]「目を見あはせて泣きまどふさま、いといといみじ。あはれにむざうに覚えしかども」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一〇)
  5. かわいらしいこと。〔物類称呼(1775)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「無慙」の読み・字形・画数・意味

【無慙】むざん

無恥

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