熊の胆(読み)クマノイ

デジタル大辞泉 「熊の胆」の意味・読み・例文・類語

くま‐の‐い【熊の胆】

熊の胆嚢たんのう胆汁をとらずに干したもの。苦みが強く、健胃薬気つけ薬などに用いる。熊胆ゆうたん
朝鮮人参の古和名。

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改訂新版 世界大百科事典 「熊の胆」の意味・わかりやすい解説

熊の胆 (くまのい)

ヒグマUrsus arctosおよびヒグマ属の動物の肝汁の入った胆囊(たんのう)を乾燥させたもの。少しいびつな細長い氷囊型をしており,味はきわめて苦い。漢方では熊胆(ゆうたん)と呼び,小児の薬として珍重され,急性熱病で高熱が続き,痰があってけいれんするものに単独で用い,速効がある。また他の生薬を配合して慢性消化不良に用いられ,健胃,駆虫作用がある。咽喉の急性炎症,口腔,鼻粘膜の炎症に冰片(ひようへん)(竜脳)と合わせて外用すると消炎排膿効果があり,痔疾で肛門のはれているものには冰片,青黛(せいたい)(インジゴ)とともに用いられる。民間ではウサギ,タヌキ,キツネなどの胆囊も熊の胆と称し,味も同様である。
執筆者:

かつてはツキノワグマのものも用いられた。民間薬として万病に効ありと賞用されている。中世以前は他の動物の胆も同様の用に供されたが,近世初めに《本草綱目》などにその効が説かれてとくに名高くなった。熊の胆1匁と金1匁とが等価とか米1俵と交換されるといわれ,色によっても値に高低がある。高価なため黄蘗(きはだ)の樹皮を煮つめた偽物が作られ,その鑑別法も伝承されている。
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百科事典マイペディア 「熊の胆」の意味・わかりやすい解説

熊の胆【くまのい】

熊胆(ゆうたん)の俗称。ツキノワグマ,ヒグマ,ヒマラヤグマの胆汁のはいった胆嚢を乾燥したもの。暗黒褐色の卵円板状で,健胃薬,強壮薬として古くから用いられた。有効成分はタウロデオキシウルソコール酸。奇応丸などに配合される。
→関連項目クマ(熊)ツキノワグマ反魂丹ヒグマ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「熊の胆」の意味・わかりやすい解説

熊の胆
くまのい

熊胆

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世界大百科事典(旧版)内の熊の胆の言及

【ツキノワグマ(月輪熊)】より

…寒い地方では,冬,木の洞,岩穴などに入って冬眠し,このとき雌はふつう2子を生む。胆囊は,〈熊の胆(くまのい)〉と称し,健胃剤として珍重される。肉食性の傾向の強いヒグマに比べて,植物食の傾向が強いためかはるかにおとなしいが,突然の出会いなどによる人の被害がわずかながら毎年ある。…

※「熊の胆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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