中国の唐代にその使用が始まったと思われる漢薬で、クマ類の胆汁を乾燥したもの。市場には胆嚢(たんのう)に入ったままの状態で出まわり、日本産はそのまま板に挟んで乾燥させるので、円板状である。原動物はクマ科のツキノワグマSelenarctos thibetanus G. CuvierおよびヒグマUrsus arctos L.もしくはその変種で、日本産のものはニホンツキノワグマS. t. japonicus Schlegelが主である。熊胆は採集する時期によって色が異なり、色調によって黒様(くろで)、琥珀様(こはくで)、青様(あおで)などと称される。わが国では一般に淡黄色の琥珀様が賞用される。熊胆は他の多くの動物胆汁とは異なり、乾燥すると固形となり、吸湿性がないため、調剤用としては適している。熊胆に特有の成分はタウロ・ウルソデオキシコール酸であるが、現在のところ薬効との関連は不明である。他にコール酸やヒオデオキシコール酸などを含有する。
熊胆は俗に「熊(くま)の胆(い)」と称され、配置家庭薬として著名であるが、材料不足で非常に高価なため、現在では豚胆(とんたん)を代用としていることが多い。熊胆は苦味健胃のほか、鎮痛、鎮けい、利胆、消炎、解熱などの効能があり、胃腸病、黄疸(おうだん)、小児の疳(かん)、腸内寄生虫症などに応用される。
[難波恒雄・御影雅幸]
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…少しいびつな細長い氷囊型をしており,味はきわめて苦い。漢方では熊胆(ゆうたん)と呼び,小児の薬として珍重され,急性熱病で高熱が続き,痰があってけいれんするものに単独で用い,速効がある。また他の生薬を配合して慢性消化不良に用いられ,健胃,駆虫作用がある。…
※「熊胆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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