熊毛郷(読み)くまげごう

日本歴史地名大系 「熊毛郷」の解説

熊毛郷
くまげごう

和名抄」高山寺本に「熊毛」と記し、「久末計」と訓じる。刊本には「久万介」とあるが、ともに「くまけ」と読む。

郷域については数説がある。「日本地理志料」は熊毛半島南半部の現平生ひらお佐賀さが・現柳井市阿月あつき・現上関かみのせき町の一帯を、「防長地名淵鑑」は熊毛半島の西北部の現平生町の宇佐木うさなぎ大野おおの曾根そね佐賀にわたる一帯を、「大日本地名辞書」は「防長地名淵鑑」説を除く熊毛半島全域を郷域にそれぞれ想定しているが、その根拠は郡家の所在地に求めている。「大日本地名辞書」は平生町小郡おぐにを郡家の所在地として、「万葉集」巻一五に収められた「熊毛浦船泊之夜作歌四首」の熊毛浦は小郡の辺りとみている。「防長地名淵鑑」は、周防国分寺文書のうち正中二年(一三二五)の留守所下文に「大野本郡」とあり、また、平生町大野にあった阿曾あそ神社の嘉暦二年(一三二七)年号のある鐘銘に「大野本郡阿曾社」とみえるところから、郡家の所在地を平生町大野付近とみている。


熊毛郷
くまけごう

「和名抄」所載の郷名。同書の高山寺本は能毛とする。諸本とも訓を欠く。「鹿児島県史」は熊毛入道と能満入道が分領していたという所伝を紹介し、国上くにがみ(種子島北端部、現西之表市)浦田うらた明神が熊毛明神であったと伝えるので、島の最北部の地かと推定している。郡名と同一なので郡家の所在地と想定され、当郷は島北部にある最要港をもつ現西之表にしのおもて市一帯とするのが妥当であろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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