小郡(読み)しょうぐん

精選版 日本国語大辞典 「小郡」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ぐん セウ‥【小郡】

〘名〙
① 小さな郡。〔梁知微‐入朝別張燕公詩〕
② 古代の郡の、大きさによる等級区分で最下位のもの。一里五〇戸として大化改新の詔では三里養老令では三里または二里で領一人、主帳一人を置くと定められている。〔令義解(718)〕

おごおり をごほり【小郡】

[一] 福岡県中西部の地名。福岡、久留米両市の住宅衛星都市として発展。昭和四七年(一九七二市制
[二] 山口県中南部の地名。古来陸上交通の要地で、江戸時代には本陣・代官所が置かれた。山陽新幹線山陽本線が通じ、山口線宇部線が分岐する。

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デジタル大辞泉 「小郡」の意味・読み・例文・類語

おごおり〔をごほり〕【小郡】

山口県山口市の地名。旧町名。山陽新幹線山陽本線が通じ、山口線・宇部線が分岐する鉄道交通の要地。
福岡県中西部の市。米・麦の栽培などが行われるが、近年、都市化が著しい。人口5.9万(2010)。

しょう‐ぐん〔セウ‐〕【小郡】

古代の郡の大きさによる等級のうち、最小のもの。50戸を1里として、2里または3里を小郡とした。

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日本歴史地名大系 「小郡」の解説


おたるぐん

明治二年(一八六九)八月一五日設置(公文録)。旧ヲタルナイ場所を郡域とする。現在の小樽市東部にあたる。後志国の北東端に位置する。北西部は高島たかしま郡、南部は余市よいち(輯製二十万分一図では胆振国虻田郡とする)、東部は石狩国石狩郡・札幌郡に接し、北部は日本海に臨む。郡の名称は蝦夷開拓御用掛松浦武四郎が従来の場所名から「小樽をたる郡」を提案(「郡名之儀ニ付奉申上候条」松浦家文書)、これが採用された。明治二年九月兵部省の管轄となり、同年一〇月当郡銭函ぜにばこに開拓使仮役所が置かれた。同三年四月同仮役所は郡内の信香のぶかに移転、小樽仮役所と称した。同月開拓使の管轄となる。同年九月市並となり、市街地の八町と銭函朝里あさりなど四村が置かれた。同四年六月開拓使庁が札幌に開設、小樽仮役所は開拓使小樽出張所となり、小樽・高島二郡を管轄した(以上「事業報告」第一編)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小郡」の意味・わかりやすい解説

小郡
おごおり

山口県南西部、吉敷郡(よしきぐん)にあった旧町名(小郡町(ちょう))。現在は山口市の中西部を占める地域。椹野(ふしの)川下流に位置し、山口盆地への入口にあたる。旧小郡町は1901年(明治34)町制施行。1944年(昭和19)山口市に合併されたが、1949年分離独立。2005年(平成17)ふたたび山口市と合併した。古代の東大寺領椹野庄(しょう)の一部で、中世には河口港津市(ついち)が大内氏の城下山口の外港として栄えた。近世には萩(はぎ)藩小郡宰判勘場(さいばんかんば)(代官所)が置かれ、また山陽道の宿駅、市場(いちば)町として発達した。明治以降、山陽本線と山口線、宇部線の分かれる交通の要地となり、機関区のある鉄道の町となった。山口市の玄関口にあたり、1975年山陽新幹線の小郡駅(2003年「新山口駅」に改名)が設置され、駅前の都市開発が進んでいる。国道2号、9号が通じ、中国自動車道小郡インターチェンジがあり、県総合交通センターや県流通センターも設置されている。商業、交通の就業率が高く、自動車関連産業が集まっている。

[三浦 肇]

『『小郡町史』(1957・小郡町)』

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改訂新版 世界大百科事典 「小郡」の意味・わかりやすい解説

小郡[市] (おごおり)

福岡県中西部の市。1972年市制。人口5万8499(2010)。南は久留米市,西は佐賀県鳥栖(とす)市に接し,筑後川支流の宝満川流域を占めて南北に長い。北半は緩起伏の洪積台地で畑が多く,南半は低湿な水田地帯でかつては日本住血吸虫症が発生していた。甘木鉄道線が通じ,西鉄大牟田線が縦走,すぐ近くの鳥栖市域に九州自動車道と長崎・大分自動車道が交差する鳥栖ジャンクションがある。野菜栽培や養鶏,養豚などが盛んな農村地帯であったが,1953年に陸上自衛隊駐屯地が新設され,60年代から住宅が激増して福岡市の衛星都市化しており,北隣の筑紫野市にまたがる九州最大規模(約700ha)の中九州(小郡・筑紫野)ニュータウン(8000戸を計画)もほぼ完成した。向築地(むこうつきじ)の小郡官衙(かんが)遺跡(史),南北朝時代の大原古戦場跡,筑後平野の展望のよい花立山(城山),筑前,筑後を結ぶ近世の街道の旧宿場町の遺構を残す松崎などがある。
執筆者:

小郡 (おごおり)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小郡」の意味・わかりやすい解説

小郡
おごおり

山口県中部,山口市西部の旧町域。山口盆地の南端にある。 1901年町制。 1944年山口市に編入されたが 1949年分離。 2005年山口市,徳地町,秋穂町,阿知須町の1市3町と合体して山口市となった。かつては椹野川の河港で,山口盆地と周防灘を結ぶ要地であった。近世以降は干拓が進んだ。主要鉄道が分岐し,国道が交差する交通の中心地で,県都山口市の西の玄関にあたる。農業と化学工業が基幹産業であるが,県内流通部門の中核都市でもある。ナギ (梛)の自生北限地帯として 1922年国の天然記念物に指定。

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世界大百科事典(旧版)内の小郡の言及

【郡】より

…中国の郡県制に淵源し,日本での初見は《日本書紀》大化2年(646)正月条の〈改新之詔〉に〈凡そ郡は四十里をもって大郡とせよ。三十里以下,四里より以上を中郡とし,三里を小郡とせよ〉とあり,このとき郡制が施行されたかのように記されているが,孝徳朝の649年(大化5)に(こおり)制が施行されて以来,7世紀の後半を通じて国の下の行政単位が一貫して評であったことは,金石文や木簡などの当時の史料から確かめられている。評も郡もともに〈こおり〉と読まれたらしいが,郡は評を継承しつつ701年(大宝1)の大宝令の制定とともに始まり,〈改新之詔〉はそれにもとづいて作文されたものと考えられている。…

※「小郡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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