片野郷（読み）かたのごう

日本歴史地名大系

片野郷
かたのごう

• 福岡県：北九州市（旧豊前域）
• 小倉北区
• 片野村
• 片野郷

現片野を含む一帯に比定される。門司氏系図（門司市史）は建長七年（一二五五）「下知奉行」として門司（もじ）関（現門司区）へ下向した藤原親房が門司六ヶ郷を拝領したと伝え、六ヶ郷には一族が分出・土着し、南北朝期には片野系門司本親が「片野六分方」を知行したという。文永九年（一二七二）一〇月九日の門司六ヶ郷惣田数注文写（甲宗神社文書／鎌倉遺文一五）によると、「片野郷」内の名田として安枝一〇町・倉富四〇町三反余・藤松一〇町・末松二町九反余・行安五町・得益五反・金剛丸二町五反余・末永三反余・石童丸四反余・重富五町五反余・三郎丸（さぶろうまる）七町・近見七町・乙丸五町六反余・真元一町六反余や時武・安武・徳光・石法師丸・富永・楸原・金武があった。

片野郷
かたのごう

• 岐阜県：美濃国
• 山県郡
• 片野郷

「和名抄」所載の郷。天平二〇年（七四八）四月二五日の写書所解（正倉院文書）に「美濃国山県郡片野郷戸主伊福部五百江戸口」とみえるのが初見である。郷域については「大日本地名辞書」は厳美（いづみ）村加野（かの）（現岐阜市）を片野の転訛とみて、そこにあてている。

片野郷
かたのごう

• 千葉県：上総国
• 武射郡
• 片野郷

「和名抄」所載の郷で、同書名博本の行野は誤記とみられる。同書高山寺本など諸本とも訓を欠く。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」