金武(読み)きん

改訂新版 世界大百科事典 「金武」の意味・わかりやすい解説

金武[町] (きん)

沖縄県国頭(くにがみ)郡の町。沖縄島(本島中部の東海岸にある。1980年町制。人口1万1066(2010)。脊梁山地から比較的平たんな隆起海食台が緩傾斜をなし金武湾に迫る。1899年町出身の当山(とうやま)久三らによって沖縄初の海外移民が行われ,町民を中心にハワイへ移民を送り出したことで知られる。1960年ころまでは純農村であったが,2009年現在,町面積の約60%はアメリカ軍基地(キャンプ・ハンセン)に占められ,基地に依存するサービス業中心の第3次産業が大きな比重を占めている。農業はサトウキビ,茶,花卉などが栽培される。また,肉用牛,乳用牛,豚,採卵鶏畜産も盛んである。沖縄自動車道の屋嘉(やか)と金武の二つのインターチェンジがある。住民共同の生活用水として利用されている金武大川石灰岩からの湧泉で,沖縄で最大級(湧水量2700kl/日)のものである。史跡として16世紀の金武観音寺がある。
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