牛首紬(読み)うしくびつむぎ

改訂新版 世界大百科事典 「牛首紬」の意味・わかりやすい解説

牛首紬 (うしくびつむぎ)

絹織物一種。かつては白山紬とも称した。石川県白山の麓,白山市の旧白峰村字牛首で生産されたのでこの名がつけられた。現在も同市の旧白峰村,旧鶴来(つるぎ)町に産出する。地質堅牢で,釘に引っ掛けても釘が抜けるほどにじょうぶであるというところから,釘抜紬とも呼ばれる。経糸に練玉糸,緯糸には練熨斗糸(ねりのしいと)を使って小幅に織る。羽尺,着尺,ふくさ,ネクタイ等に用いられ,白地が主であるが縞,絣もあり,近年は紬ちりめんもつくられる。大正末期には7000反ほどの生産があったが現在は3000反。白山紬と称する石川県津幡町のメーカーのものは登録商標で,この牛首紬とは異なる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

事典 日本の地域ブランド・名産品 「牛首紬」の解説

牛首紬[染織]
うしくびつむぎ

北陸甲信越地方、石川県の地域ブランド。
石川県の旧・牛首村に由来する製法により白山市で生産された紬織物ならびに紬織物の帯・長着。二匹の蚕が共同してつくる玉繭から引かれた玉糸を使って織り上げられている。絹糸が太く丈夫な織物で、別名は釘抜紬。1988(昭和63)年6月、通商産業大臣(現・経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定。2007(平成19)年1月、特許庁地域団体商標に登録された。商標登録番号は第5015695号。地域団体商標の権利者は、石川県牛首紬生産振興協同組合。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

デジタル大辞泉プラス 「牛首紬」の解説

牛首紬

石川県白山市の旧・白峰村、牛首地区を中心に生産される絹織物。2匹の蚕がつくった1つの繭(玉繭)からとれる「玉糸」と呼ばれる特殊な絹糸を使用する丈夫で素朴な風合いの織物で、国の伝統的工芸品に指定されているほか、地域団体商標にも登録されている。平治の乱ののち、当地に流れてきた源氏の落人・大畠氏の妻たちが、村人機織りの技術を伝えたのが製造の起源と伝わる。

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