牧湊津(読み)まちなとうつ

日本歴史地名大系 「牧湊津」の解説

牧湊津
まちなとうつ

[現在地名]浦添牧港四丁目

近世の牧湊まちなとう村北部、牧港まきみなと川が形成する入江に位置し、古琉球以来、重要な港湾とされた。牧湊まちなとう湊・牧湊浦などともよばれる。当地には為朝伝説が伝わり、保元の乱で伊豆大島に流刑となった源為朝が大里按司の妹をめとったが、妻子を残し故郷に帰り、妻子が帰りを待ちわびたのが当地という伝承がある(「球陽」舜天王附紀など)。「おもろさうし」巻一五の三二には「うらおそいのちやうくち」(浦添の門口、すなわち港口)・「とかしきのちやうくち」(渡嘉敷の門口)とみえる。至元三年(一三三七)―至正一〇年(一三五〇)頃、「中山世譜」巻三、「球陽」察度王附紀によると当津に日本の商船が来航し鉄塊を販売、察度王(浦添按司)はこれを買収し農器を造らせたという。洪武五年(一三七二)に中山王察度が弟の泰期を明に初めて派遣しているが(「明実録」同年一二月壬寅条、「中山世譜」巻三など)、当地から出航したものと推測されている。

慶長一四年(一六〇九)三月、薩摩島津軍は首里城攻略のため「真比港」で船を降り、浦添うらしーの番所を経て首里に向かっている(喜安日記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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