物付(読み)ものはづけ

精選版 日本国語大辞典 「物付」の意味・読み・例文・類語

ものは‐づけ【物付】

〘名〙
雑俳で、点者(てんじゃ)が出す「…のものは」という題に対し、付句をするもの。寛保一七四一‐四四)の頃から江戸に起こり、流行をみた。なぞづけ。
随筆・我衣(1825)「寛保元年の冬、なぞ付とてはやる。点者より題を出す。是れは今の物は附なり」
② ことば遊びの一つ。「…のものは」という題に頓知(とんち)のきいた答えを出して優劣を争うもの。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「白きものははつ湯の三方とかいふめる、ものはづけとやらんもうべなり」

もっ‐つけ【物付】

〘名〙 鞍の後輪(しずわ)の鞖(しおで)につける紐。とっつけ。もつけ。ものつけ。〔武家節用集(1681)〕

もの‐つけ【物付】

もの‐づけ【物付】

〘名〙 連歌俳諧付合の一つ。掛詞や物・詞の縁などによる付け方の総称

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の物付の言及

【付合】より

…付合にはさまざまな類型と手法があり,連歌の時代,すでに15体(二条良基著《連理秘抄》),80体(伝宗祇著《連歌諸体秘伝抄》)等と細分化されていた。芭蕉らの俳諧時代においても,ことば,意味をそれぞれ付合の契機とする〈物付(ものづけ)〉〈心付(こころづけ)〉のほか,余意,余情による〈移り〉〈響き〉〈匂ひ〉〈位(くらい)〉〈俤(おもかげ)〉〈推量〉などの名目が見いだされる。芭蕉自身にも〈付句十七体〉の伝授があったという(《去来抄》)。…

【連句】より

…そのため一貫した筋や主題の展開はありえない。付ける手法には,言葉の連想による物付(ものづけ),意味の展開による心付(こころづけ),余情の映発による匂付(においづけ)の3段階があり,後者ほど高級とされた。歌仙付合【白石 悌三】。…

※「物付」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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