物外不遷(読み)もつがいふせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「物外不遷」の意味・わかりやすい解説

物外不遷
もつがいふせん
(1794―1867)

幕末期の曹洞(そうとう)宗の僧。伊予(愛媛県)松山の人。龍泰寺祖灯(そとう)のもとで出家し、学道のかたわら剣術を学び、また儒塾に通い経史を修めた。23歳のとき宇治興聖(こうしょう)寺の関浪磨甎(かんろうません)のもとで大悟し、のち江戸に下り禅道剣術をもって知られた。1863年(文久3)京に上り、加賀(石川県)、薩摩(さつま)(鹿児島県)、土佐(高知県)、越前(えちぜん)(福井県)の諸藩主と交わり、勤王大義を唱え、幕府の長州征伐の非を説き、討幕運動に加わった。また、和歌俳諧(はいかい)にも通じ、戯画をよくし、落款(らっかん)がわりに拳骨(げんこつ)を押し拳骨和尚(おしょう)とよばれた。慶応(けいおう)3年11月、尾道(おのみち)への帰路、大坂の旅宿で示寂。

[金田諦応 2017年10月19日]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「物外不遷」の解説

物外不遷 もつがい-ふせん

1794-1867 江戸時代後期の僧。
寛政6年生まれ。曹洞(そうとう)宗。山城(京都府)興聖寺の関浪磨甎(ません)に師事,備後(びんご)(広島県)尾道の済法寺住職となる。剛力で柔,剣,槍,鎖鎌などの武術にすぐれ,武田信玄を祖として不遷流を称した。異名は拳骨(げんこつ)和尚。幕末には尊攘(そんじょう)運動にくわわった。慶応3年11月25日死去。74歳。伊予(いよ)(愛媛県)出身。俗姓三木

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