禅宗・浄土宗ではオショウ、天台宗ではカショウ、真宗ではワショウ、また、ワジョウ、真言宗・法相宗・律宗ではワジョウという。
〈かしょう〉〈わじょう〉とも読む。和上,和闍,和社などの文字も当てられ,親教師,依学(えがく)などと訳されている。西域語の訛音で,《百一羯磨》に〈鄥波駄耶(サンスクリットupādhyāya)を親教師,和上と云うは即ち是れ西方時俗の語〉と指摘している。亀茲語のpwajjhawが和上の音写に近いといわれている。弟子のために親しく指導教授する意味から,その師匠を尊敬して和上,和尚と呼ぶに至った。ことに受戒の戒和上(尚)は有名である。日本では686年(朱鳥1)6月に飛鳥寺など4ヵ寺の和上が衣服など賜ったことを初見として,700年(文武4)3月の道照伝(《続日本紀》)に道照に対して和尚,和上と併用し,749年(天平勝宝1)3月の行基舎利瓶記には行基を和上と呼び,754年の書状で鑑真は東大寺良弁(ろうべん)を僧都和上と呼んでいる(《正倉院文書》)。有名な唐僧鑑真は戒律の師範であったために和上,大和上と称せられた。良弁の僧都和上や鑑真の大和上は尊称といえる。864年(貞観6)に制定された僧綱の上階である法印大和尚位,法眼和尚位の中には,和尚の尊称がとり入れられた。以後和上,和尚は高僧の尊称として用いられてきた。南都諸宗ではもっぱら和上(わじよう),天台宗では和尚(かしよう),他の諸宗では和尚(おしよう)と読んでいる。
執筆者:堀池 春峰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
仏教で、弟子を教育する師匠をいう。サンスクリット語ウパードヤーヤupādhyāyaの訛(なま)った音を写したもの。禅宗、浄土宗では「おしょう」とよぶが、法相(ほっそう)宗、真言宗、律宗などでは「わじょう」、天台宗では「かしょう」ともいう。和上(わじょう)とも書く。阿闍梨(あじゃり)(師)と弟子が教師と学生の関係にあるのに対し、和尚と弟子との関係は親子の間柄にある。和尚は弟子に戒(かい)を授けて僧とし、これを教育して一人前の僧にしてやる人であり、戒和尚ともいう。日本では僧侶(そうりょ)の官名の一つとなり、奈良時代に鑑真(がんじん)は大和尚(だいわじょう)に任ぜられている。中世以降は、高徳の僧を和尚といい、住職以上の僧をもこの称でよんだほか、単なる敬称としても用いられる。
[平川 彰]
和上(わじょう)とも。仏法の師・受戒の師のことで,高徳の僧の尊称。禅宗・浄土宗では「おしょう」,華厳宗・天台宗では「かしょう」,法相宗・真言宗では「わじょう」,律宗では「和上(わじょう)」と伝統的に呼称する。日本における僧侶の官位としては758年(天平宝字2)鑑真(がんじん)に授けられた大和尚位を最初とし,864年(貞観6)僧綱(そうごう)として法眼和尚位,法印大和尚位が定められた。しだいに修行を積んだ高徳の僧侶をさすようになり,転じて住職など僧侶一般の通称となった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…亀茲語のpwajjhawが和上の音写に近いといわれている。弟子のために親しく指導教授する意味から,その師匠を尊敬して和上,和尚と呼ぶに至った。ことに受戒の戒和上(尚)は有名である。…
…比丘とは乞食者(パーリ語のビックbhikkhu)の意味で,仏教の修行者が元来,出家・遊行を旨とし,托鉢(たくはつ)すなわち鉢を持って食を乞うて生活する沙門(しやもん)であったことに由来する。修行者はまた,教団内の役割に応じて,上座(大衆を統率する),維那(寺務をつかさどる),阿闍梨(あじやり)(大衆の教育に当たる),和尚(弟子を養育する)等とよばれ,あるいは法師(在家信者へ説法。布教者),瑜伽師(ゆがし)(禅師。…
…亀茲語のpwajjhawが和上の音写に近いといわれている。弟子のために親しく指導教授する意味から,その師匠を尊敬して和上,和尚と呼ぶに至った。ことに受戒の戒和上(尚)は有名である。…
…住職という呼称は,今日では宗派を問わず多く用いられているが,歴史的にみると,寺院最高位の僧職の呼称は時代により宗派により,またそれぞれの寺院によって,さまざまの異称や尊称がある。南都系や平安仏教系寺院では寺主(じしゆ),維那(いな),院家(いんけ),隠元(いんげん),浄土真宗や日蓮宗(法華宗)や時宗では上人(しようにん),禅宗では方丈,和尚,住持,長老(ちようろう)などの,住職をさす尊称がそれである。また,由緒ある大寺院ではその寺固有の歴史的呼称もある。…
…比丘とは乞食者(パーリ語のビックbhikkhu)の意味で,仏教の修行者が元来,出家・遊行を旨とし,托鉢(たくはつ)すなわち鉢を持って食を乞うて生活する沙門(しやもん)であったことに由来する。修行者はまた,教団内の役割に応じて,上座(大衆を統率する),維那(寺務をつかさどる),阿闍梨(あじやり)(大衆の教育に当たる),和尚(弟子を養育する)等とよばれ,あるいは法師(在家信者へ説法。布教者),瑜伽師(ゆがし)(禅師。…
※「和尚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新