特定危険指定暴力団(読み)トクテイキケンシテイボウリョクダン

デジタル大辞泉 「特定危険指定暴力団」の意味・読み・例文・類語

とくてい‐きけんしていぼうりょくだん【特定危険指定暴力団】

指定暴力団うち、不当な要求行為に応じない市民企業に対して危険な暴力行為を繰り返し行うおそれがあるとして、都道府県公安委員会が指定した組織。→特定抗争指定暴力団

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「特定危険指定暴力団」の意味・わかりやすい解説

特定危険指定暴力団
とくていきけんしていぼうりょくだん

指定暴力団のうち、その構成員やその組織から依頼を受けた者が、危険な不当要求行為を繰り返している場合、一般の市民や企業を暴力行為の危険から保護する措置として、とくに指定する組織のこと。みかじめ料や用心棒料などの不当要求行為を繰り返す指定暴力団が該当する。公安委員会は、指定暴力団員またはその要求・依頼を受けた者が、拳銃などの凶器を使用して人の生命身体に重大な危害を加える暴力行為があったと認められ、かつ同様の行為が反復して行われるおそれがあるとき、期間(最長1年間)と警戒区域を定め、特別警戒の対象として特定危険指定暴力団等に指定する。特定危険指定暴力団の構成員などが、警戒区域において暴力的な要求行為などをした場合、中止命令なしで逮捕できる。さらに、暴力的行為の相手方に対する面会要求が禁じられるほか、集合場所等の事務所を3か月以内の期間を定め、管理者等に対して供しないよう命じるなど、不当要求行為に通じる一連の行動を禁じる措置がとられる。

 2006年(平成18)以来、九州で続いた道仁(どうじん)会と九州誠道(せいどう)会(現在の浪川睦(なみかわむつみ)会)による指定暴力団どうしの抗争がきっかけになり、2012年10月に施行された改正暴力団対策法で、特定危険指定暴力団を指定する制度新設された。施行後、一般の企業や市民を巻き込んで、銃火器を使った凶悪な暴力行為をしていた工藤(くどう)会が、全国で初めて特定危険指定暴力団とされた。

 改正暴力団対策法では、対立抗争の状態にある指定暴力団どうしから一般市民を保護するため、特定抗争指定暴力団の制度があわせて設けられている。

[編集部 2017年2月16日]

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知恵蔵mini 「特定危険指定暴力団」の解説

特定危険指定暴力団

危険行為を繰り返し市民の生命・身体に重大な危害を加える恐れがある指定暴力団の中でも、都道府県公安委員会が特に指定する組織のこと。1992年「暴力団対策法」が施行され、公安委員会が指定暴力団を特定するようになり、さらに2012年10月に成立した改正暴力団対策法に基づき、特定危険指定暴力団が指定されるようになった。指定された組織は特別警戒の対象とされ、公安委員会が定めた警戒区域内で「組事務所の新設と立ち入り」「対立暴力団組員へのつきまとい」「同じ暴力団の組員が5人以上集まること」などを行った場合、警察即座に逮捕することができる。

(2014-9-17)

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