日本大百科全書(ニッポニカ) 「特殊救助隊」の意味・わかりやすい解説
特殊救助隊
とくしゅきゅうじょたい
首都直下型地震などの大災害に備えて設立された警視庁の救出救助専門部隊。英語のスペシャルレスキューチームSpecial Rescue Teamの頭文字をとってSRTともよばれる。東日本大震災の教訓を踏まえ、2012年(平成24)9月1日「防災の日」に発足した。全国の警察組織で災害専門の部隊ができるのは初めてであり、東京消防庁などにあるハイパーレスキュー(消防救助機動部隊)の警察版ともいえる。大規模災害が発生した場合、東京都内だけでなく、広域緊急援助隊として全国に派遣されるほか、国際緊急救助隊として海外にも派遣される。警視庁警備部災害対策課に所属し、平時は訓練や警察署員らへの指導を行い、警察組織全体の救出・救助技術の向上にあたっている。
大災害時には都心の液状化や道路寸断などで地上交通がまひすることが想定されるうえ、東日本大震災においてヘリコプターによる救助が効率的であった経験を生かし、活動拠点を航空隊と同じ立川市の警視庁多摩総合庁舎に置いている。隊員は東日本大震災で活動した機動隊員のほか、水難救助、山岳救助、重機操作などの専門家ら35人で、24時間体制で出動に備える。隊員の制服についているクロヒョウのワッペンは、救助活動時に要求される「素早さ」「しなやかさ」を象徴しているという。隊員のヘルメットには小型カメラが装備されており、警視庁本部や遠隔地へ救助のようすをリアルタイムで送信できる。レスキュー車、重機、生存者探知センサー、心電図を表示する機器などを装備している。なお、警視庁には1972年(昭和47)創設の機動救助隊があるが、特殊救助隊はそれよりさらに高い技術をもった専門部隊である。
[編集部]