犬居郷(読み)いぬいごう

日本歴史地名大系 「犬居郷」の解説

犬居郷
いぬいごう

春野町南西の堀之内ほりのうち領家りようけを中心とする一帯に比定される。建長八年(一二五六)七月三日の将軍家政所下文(武家手鑑)に「遠江国山香庄内犬居郷」とあり、天野氏惣領の景経に当郷などの地頭職が、父政景の延応元年(一二三九)一二月一一日の譲状などに任せて安堵された。景経の祖父は鎮西奉行天野遠景で、同氏が当地の地頭職を得たのはその子政景の時からと考えられる。景経の子孫はのちに当地に入部、土着した。正平六年(一三五一)城飼きこう横地よこじ(現菊川町)本領とする奉公衆横地長連、その父為長が「遠江国大峰平山・犬居村」地頭職を宛行われたと主張したが、守護今川範国は観応三年(一三五二)八月一三日にその地を天野氏に安堵した。康暦二年(一三八〇)に三ヵ村は御料所になったが、永徳二年(一三八二)この儀は停止された。長連はさらに権利を主張したものの、至徳三年(一三八六)六月二七日、これらの地頭職は天野景隆に安堵された(「管領斯波義将奉書」富田仙助氏所蔵文書)。応永六年(一三九九)一〇月二一日、景隆は遠江守護今川仲秋から、本領として当知行の犬居、大峰おおみね(現龍山村)など三ヵ村地頭職を安堵された(「遠江守護今川仲秋書下」同文書)。その後しばらく犬居郷あるいは犬居村の名は記録に表れず、戦国期には犬居三ヶ村あるいは犬居山中いぬいさんちゆうという地名が表れる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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