狭穂姫(読み)さおひめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「狭穂姫」の意味・わかりやすい解説

狭穂姫
さおひめ

垂仁(すいにん)天皇皇后実兄の狭穂彦より天皇の殺害を命ぜられたので、姫の膝枕(ひざまくら)で眠る天皇を三度刺そうとするが果たせない。その涙に目覚めた天皇は、夢のなかで佐保から降ってきた雨のなか、小蛇が首に巻き付いたのは何の予徴であろうかと問う。姫の自白により反逆を知ると、天皇は狭穂彦を攻め、姫は宮を抜けて兄のいる稲城(いなぎ)に入る。姫への愛情から天皇は攻撃の時を遅らせ、敏捷(びんしょう)な軍士にその救出を命ずるが、姫は稲城の中で生まれた天皇の御子(みこ)だけを渡し、兄とともに燃える稲城の中で命を終える。実兄の共同治政の誘いには、古い彦姫制の最後の残像をとどめるが、この話は、中国の『捜神記(そうじんき)』などに話材を求めて散文だけで語られた、古代における女性の愛の悲劇白眉(はくび)といえる。

吉井 巖]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「狭穂姫」の解説

狭穂姫 さほひめ

記・紀にみえる垂仁天皇の皇后。
彦坐王(ひこいますのおう)の子。兄狭穂彦(さほひこ)に天皇殺害を命じられたがはたせず,天皇に告白。兄が天皇軍に攻められたため,兄のこもる稲城(いなぎ)にはいり,生まれたばかりの皇子誉津別命(ほむつわけのみこと)を天皇方にわたし,兄とともに火中に没したという。「古事記」では沙本毘売

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「破竹の勢いで連戦連勝する」[類語]強い・強力・強大・無敵・最強・力強い・勝負強い・屈強・強豪・強...

破竹の勢いの用語解説を読む