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狭野弟上娘子 サノノオトガミノオトメ

大辞林 第三版の解説

さののおとがみのおとめ【狭野弟上娘子】

奈良中期の女流歌人。中臣宅守なかとみのやかもりが禁を犯して娘子を娶めとったため、宅守は越前に流された。その折の贈答歌六三首が万葉集にあり、うち二三首の娘子の作は、悲恋を情熱的に歌い上げている。狭野茅上さののちがみの娘子と伝える写本もある。生没年未詳。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

狭野弟上娘子
さののおとがみのおとめ

生没年不詳。『万葉集』後期の、奈良朝の女流歌人。『万葉集』諸本には「狭野茅上娘子(さののちがみのおとめ)」とある本もあるが、「上」とあるほうが正しいらしい。『万葉集』巻15には、越前(えちぜん)国(福井県)に流罪となった中臣宅守(なかとみのやかもり)との間に詠み交わされた63首(すべて短歌)があり、そのうちの23首が娘子の歌として伝わるすべてである。宅守の配流の原因は詳しくはわからないが、娘子が天皇や祭祀(さいし)に仕える蔵部女嬬(くらべのにょじゅ)であったらしいところから、宅守が禁忌を犯して娘子を娶(めと)ったためとも考えられる。天平(てんぴょう)12年(740)ごろのことであったらしい。娘子の歌は、配流の地にある夫を思う内容であるだけに、きわめて熱情的で、絶叫的な表現にさえなっており、集中でも特異な位相にある。
 君が行く道のながてを繰(く)りたたね焼きほろぼさむ天の火もがも[鈴木日出男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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