六訂版 家庭医学大全科 「狹窄性腱鞘炎」の解説
狹窄性腱鞘炎(ドゥケルヴァン病)
きょうさくせいけんしょうえん(ドゥケルヴァンびょう)
Stenosing tenosynovitis (de Quervain disease)
(運動器系の病気(外傷を含む))
どんな病気か
親指(
原因は何か
妊娠時や産後、更年期の女性ではホルモンの異常によって起こることが多く、スポーツマンや指をよく使う仕事の人にも多く発生します。
腱が腱鞘内で滑らかに動かないことから、腱の表面が傷んだり腱鞘が肥厚したりして一層刺激が強くなり、炎症が増悪するといった悪循環が生じます。
症状の現れ方
母指を使った場合に強い痛みが手関節部橈側に出ます。さらに症状がひどくなると安静時にも痛みがあり、腱鞘部分に
検査と診断
母指を使用した時の手関節橈側部の痛み、同部位を押した際の痛み(圧痛)、はれあるいは腫瘤を触れることがあります。
痛みの誘発試験としてはフィンケルステインテストがあります。これは、母指を広げた状態で(外転して)、手関節を小指側に曲げる(
手関節橈側に痛みがでる他の病気として母指CM関節症、舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折などがありますが、これらとはX線検査で区別できます。
治療の方法
まずは痛みに対して手をなるべく使わないように安静にし、時には副木や装具などで固定することもあります。そして湿布、塗り薬、痛み止めの内服薬を用いた保存的治療を行います。炎症と痛み、腫脹を和らげるために、腱鞘内局所麻酔薬とステロイド薬の注射を行う場合もあります。このような保存的治療が無効な場合には、手術的治療を行います。手術は腱鞘切開術で、通常は局所麻酔下に日帰りで行われます。
病気に気づいたらどうする
手、とくに母指を使いすぎないように注意して、痛みを生じる動作はできる限り避けます。それでも痛みが続くようであれば、腱鞘炎以外に関節や骨の病気の可能性もあるため、整形外科への受診をすすめます。
池上 博泰
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報