猫いらず(読み)ネコイラズ

デジタル大辞泉 「猫いらず」の意味・読み・例文・類語

ねこ‐いらず【猫いらず】

黄燐おうりん亜砒酸あひさん主成分とした殺鼠剤さっそざい。商標名。

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改訂新版 世界大百科事典 「猫いらず」の意味・わかりやすい解説

猫いらず (ねこいらず)

1905年成毛英之助がアメリカの製品をヒントに製造発売した日本最初の黄リン系殺鼠(さつそ)剤の商品名。普及にともない殺鼠剤代名詞となった。黄リン含量は8%。外観は赤褐色軟泥状で,味は甘く,独特の臭気がある。1cm大の野菜片やだんごに約0.05gの薬を塗付し,穀粉をまぶしたものをネズミの通路に置いて使う。ネズミ以外のモグラ害虫駆除にも有効であった。入手しやすい毒物であったため大正のころには,猫いらずによる自殺が増え〈猫自殺〉などと呼ばれた。現在では毒物及び劇物取締法の対象となり,一般にはほとんど使われていない。殺鼠剤そのものの歴史は古く,地中海沿岸に自生するユリ科のカイソウ(海葱)red squill(有効成分はシリロシド)は有史以前から利用されたといわれる。日本でも,江戸時代にヒ(砒)石を原料とする〈岩見銀山鼠取薬〉が〈いたずら者はいないかな〉の行商の売り声とともに知られ,黄リン製剤以前はこの亜ヒ素系殺鼠剤がおもに使われていた。
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百科事典マイペディア 「猫いらず」の意味・わかりやすい解説

猫いらず【ねこいらず】

殺鼠(さっそ)剤。黄リン約8%のほか,グリセリン,デンプンなどを含む。殺鼠作用はリン中毒による。現在では毒物及び劇物取締法の対象となり,ほとんど用いられていない。
→関連項目殺鼠剤

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「猫いらず」の意味・わかりやすい解説

猫いらず
ねこいらず

殺鼠剤の一種。主成分として黄リン8%を含むほか,グリセリン,ぶどう糖などが混合され,酸化鉄で赤褐色に着色されている。ネズミの好む餌に含ませて使用する。

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