玄朴と長英(読み)ゲンボクトチョウエイ

デジタル大辞泉 「玄朴と長英」の意味・読み・例文・類語

げんぼくとちょうえい〔ゲンボクとチヤウエイ〕【玄朴と長英】

真山青果戯曲。1幕。大正13年(1924)、雑誌中央公論」9月号に掲載同年、劇団同志座が有楽町邦楽座にて初演。明治44年(1911)の原稿二重売り事件で文壇から離れていた著者の復帰作。

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精選版 日本国語大辞典 「玄朴と長英」の意味・読み・例文・類語

げんぼくとちょうえいゲンボクとチャウエイ【玄朴と長英】

  1. 戯曲。一幕。真山青果作。大正一三年(一九二四発表現実主義的な伊東玄朴理想主義的な高野長英の激しい対立を通して、作者自身の精神葛藤を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「玄朴と長英」の意味・わかりやすい解説

玄朴と長英
げんぼくとちょうえい

真山青果(まやませいか)の戯曲。1幕。1924年(大正13)9月『中央公論』に発表。同年10月、同志座が田中介二(かいじ)、金井謹之助により東京・邦楽座で初演。26年6月には7世松本幸四郎、13世守田勘弥(かんや)により帝国劇場で上演された。1845年(弘化2)3月末、江戸・御徒町(おかちまち)の蘭学医(らんがくい)伊東玄朴の家を、火災のため伝馬(てんま)町の獄を一時釈放となった旧友高野長英が訪れる。長英は帰郷するための旅費を貸せと迫るが、玄朴は拒む。理想家肌で激情に駆られ尊大な長英と、現実家肌で冷静な玄朴との対立は、蛮社(ばんしゃ)の獄や渡辺崋山(かざん)の死をめぐってさらに深まり、けんかのすえに長英は金を借りずに去っていく。しかし長英を思いやる玄朴の友情は変わらない。史実にはない虚構のうえに、性格対比の手法で2人の対立を鮮やかに描いた。

[藤木宏幸]

『『真山青果全集14』(1976・講談社)』

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