日本大百科全書(ニッポニカ) 「琴海」の意味・わかりやすい解説
琴海
きんかい
長崎県西彼杵(にしそのぎ)郡にあった旧町名(琴海町(ちょう))。現在は長崎市北部の一地域。旧琴海町は1969年(昭和44)町制施行。2006年(平成18)長崎市に編入。旧町域は、西彼杵半島東岸に位置し、大村湾に面する。海岸沿いに国道206号が南北に走る。「琴海」の名は大村湾の古い呼び名に由来する。大村湾の支湾をなす形上(かたがみ)湾や村松湾では真珠養殖が盛んで、長崎県真珠組合員の3分の1をこの地域で占める。農業面では果樹や野菜、花卉(かき)の栽培が盛ん。特産物はミカンとスイカで、とくに尾戸(おど)の半島部から形上湾沿岸に多い。南部の西海(にしうみ)は西海石(にしめいし)(石材)の産地で、石材業者が多い。西部は西彼杵山地で開拓集落が散在している。1982年7月23日の長崎豪雨に際して時間雨量153ミリメートルの記録を示した長浦(ながうら)岳(561メートル)も含まれる。沿岸部にはゴルフ場があり、マリンスポーツ、磯釣りなどの行楽客も多い。南部は長崎市中心市街地のベッドタウンとして宅地開発が進む。
[石井泰義]