扁形(へんけい)動物門条虫綱円葉目に属する寄生虫。イヌ条虫ともいう。イヌやネコの小腸に普通にみられ、体長50センチメートルに達する。頭節に近い片節は短くて幅広いが、後方になるにつれ幅より長さを増し、いわゆる瓜の実(種(たね))型になる。各片節には2組の生殖器を備えている。
老熟片節は排出されたのちしばらく動きながら卵を放出する。このため人の目にとまりやすい。卵は中間宿主のノミの幼虫に食べられ、ノミの体内で発育して、ノミが成虫に変態したのちに擬嚢尾虫(ぎのうびちゅう)という幼虫になる。このような幼虫を宿したノミは運動が不活発になり、イヌやネコに食べられやすくなる。感染してもほとんど無症状のことが多い。成虫の駆除とともに中間宿主となるノミの駆除も必要となる。ヒト(とくに幼児)に寄生することもある。
[町田昌昭]
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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