ウリ(読み)うり(英語表記)Uri

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウリ」の意味・わかりやすい解説

ウリ(瓜)
うり / 瓜

ウリ科(APG分類:ウリ科)の植物で果実を利用するものの総称。しかし、一般にウリという場合マクワウリをさすことが多く、ついでシロウリをさすことも多い。さらに意味を広げて、キュウリ、スイカ、カボチャトウガン、メロン、ユウガオツルレイシ(ニガウリ)、ヘビウリ、ハヤトウリヘチマなどもウリに含まれる。食用にはならないが、山野に自生するカラスウリ、キカラスウリスズメウリゴキヅルなどをウリの仲間に入れることもある。

[星川清親 2020年2月17日]

文化史

アフリカやインドが原産とされるウリは、古代エジプトの寺院の壁画供物として描かれ、紀元前10世紀以前から食用にされていた。中国には漢以前に伝わり、『詩経』や『礼記(らいき)』に瓜の名がみえる。長沙馬王堆(ちょうさまおうたい)の漢墓の女性のミイラ(前175~前143年埋葬)の腹からは、種子が発見されている。日本には紀元前に渡来し、弥生(やよい)時代前期の遺跡からやはり種子が出土している。ウリの種類は多いが、『古事記』や『日本書紀』『万葉集』に出るのはマクワウリである。

[湯浅浩史 2020年2月17日]



ウリ(スイス)
うり
Uri

スイス中部の山岳州。面積1077平方キロメートル、人口3万5000(2001)。ロイス川の谷がゴタルト山地に至る地域を中心にアルプス越えの交通の要衝であり、州面積の3分の2は標高1800メートル以上で、北の石灰岩山地、南の片麻(へんま)岩山地、花崗(かこう)岩山地が、谷底、谷壁の生活空間を狭めている。牧畜を主とする農業が盛んであるが、13世紀以来ザンクト・ゴタルト(フランス語ではサン・ゴタール)峠へ抜ける通過地域となっており、現在は観光収入も少なくない。州都アルトドルフ

[前島郁雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウリ」の意味・わかりやすい解説

ウリ(瓜)
ウリ

広い意味ではウリ科植物の総称であるが,一般にはこのなかのマクワウリやシロウリなどをさすことが多い。ウリ科植物の多くはつる性の草で,葉柄の脇から巻きひげを出して他物に巻きついて伸びるが,カボチャやスイカのように地をはうものもある。葉は互生し,形や大きさはいろいろある。花は放射相称で,雄花と雌花の区別があり,黄または白色5枚の花弁は合弁で,下半部は筒状または杯状になる。萼も筒状で,先端は5裂する。雄花のおしべの形に特徴があり,5本のおしべがそれぞれ1個の葯 (やく) をもつもの,5本のうち2本ずつくっつき1本だけ離れているもの,および5本が全部くっついているものなどがある。めしべは1本で先が3裂し,子房は下位で萼筒に包まれる。果実は水分の多い果肉から成り,多数の種子をつくる。日本に野生するものにはアマチャヅル,カラスウリ,スズメウリ,ゴキヅルなどがあるが,いずれも果実は食用にならない。食用になるウリ類はすべて外来のもので,熱帯アジア,西インド諸島,熱帯アフリカなどの原産である。

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