日本大百科全書(ニッポニカ) 「由加山」の意味・わかりやすい解説
由加山
ゆがさん
岡山県南部、倉敷(くらしき)市児島(こじま)にある丘陵性山地。瑜伽山とも書く。標高273メートル。瀬戸内海国立公園の一部。植生に乏しい児島半島のなかで、山頂一帯には豊かな自然林があり、野鳥、昆虫も多い。山頂の瑜伽山蓮台寺(れんだいじ)は真言(しんごん)宗御室(おむろ)派別格本山で、行基(ぎょうき)の開基と伝えられる。応永(おうえい)年間(1394~1428)に増吽(ぞううん)が再興し、近世には岡山藩主池田氏の寄進を受け、明治末ごろまでは讃岐(さぬき)の金刀比羅(ことひら)宮とともに庶民の信仰を集めた。本殿、客殿、多宝塔、梵鐘(ぼんしょう)などは県指定重要文化財。往時の繁栄をしのばす門前町が残っている。
[由比浜省吾]