男性ホルモン(テストステロン)は精巣が産生するホルモンで、さまざまな機能をもっており、心身状態に影響を及ぼしています。個人差が大きいのですが、一般的に男性ホルモン産生は高齢になると低下し、とくに40代後半から50代前半に、性欲低下・発汗・ほてり・寝汗・疲労感・うつ状態等の症状を呈します。
女性における更年期障害に対応する疾患として、男性更年期障害と呼ばれます。欧米では
基本的には男性ホルモンの低下が原因です。ただし、男性更年期障害以外にもさまざまな疾患において男性ホルモンが一時的に低下することはありますので、それらを除外する必要があります。
また男性ホルモンの低下だけでなく、体調の変化や外的なストレスなどが重なって発症すると考えられています。
血中テストステロンの測定が基本です。さらに、関連するホルモンとしてLH(黄体化ホルモン)、プロラクチンなどの測定も参考になります。頻度の高い症状として、性欲低下、勃起不全、筋力低下、体脂肪の増加、骨密度の減少、活力低下、抑うつ状態、などがあり、これらの症状と血中テストステロン値が診断の決め手になります。
男性ホルモンの補充療法が治療の基本です。補充の方法としては筋肉注射、経口薬、塗り薬がありますが、日本では注射療法が一般的で、3~4週間ごとに筋肉注射を行います。効果の発現は症状により異りますが、3カ月程度を目安に効果判定し、治療の継続、もしくは中断、あるいは中止を判断します。
男性ホルモン補充療法を行うにあたっては、その副作用に留意しなければなりません。とくに前立腺がんを罹患している方には前立腺がんを進展させる危険性があるため、ホルモン補充は
自覚症状だけでは判断しにくいため、気づくことが遅れることもあります。一方、うつ病やその他の疾患を男性更年期障害と誤解することも少なくありません。気になる症状がある場合は、専門医や主治医に相談し、血中テストステロンの測定をしてみることをすすめます。
小川 毅彦
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
男性ホルモンであるテストステロンの減少が原因でさまざまな身体的・心理的症状を示す症候群。自律神経失調症を中心とした多種多様な自覚症状を訴えるが、裏づけとなる病気は特定できない。閉経に前後して起こる女性の更年期障害が知られているが、男性にも特有の症状がみられることが明らかとなっている。テストステロンは男性の活力を支えるホルモンで、20代から30代をピークに40代後半あたりから分泌量が徐々に減少していく。個人差はあるが、10年ごとに10%の割合で低下するとする研究もある。また、男性更年期障害はまじめできちょうめんな性格の者に多くみられるという報告もある。テストステロン減少の原因は加齢のほか、ストレスや肥満が大きくかかわるともいわれる。症状や程度には個人差があり、男性特有の症状としては性欲低下や性機能の減退および勃起(ぼっき)不全などがよく知られている。さらに疲労感や集中力・意欲低下のほか、不眠・不安、イライラ、抑うつ症状、めまいなども伴う。また、筋力低下や貧血、骨粗鬆(そしょう)症などについても、加齢だけでなくテストステロンの減少を原因とするケースの報告もある。治療は男性ホルモン補充療法を行い、それに加えて、適度な運動の励行、心身リラックス、バランスのよい食事への改善などを心がけることが必要とされる。
[編集部 2016年5月19日]
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