町入能(読み)マチイリノウ

デジタル大辞泉 「町入能」の意味・読み・例文・類語

まちいり‐のう【町入能】

江戸時代将軍宣下婚礼誕生などの重大な祝い事の際の式能に、江戸町人陪観を許したもの。江戸城本丸大書院の南庭で、式能の1日目に二交代で五千余人に見せた。

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精選版 日本国語大辞典 「町入能」の意味・読み・例文・類語

まちいり‐のう【町入能】

  1. 〘 名詞 〙 江戸幕府の大礼能で、勅使下向・将軍宣下・官位昇進・世嗣誕生・婚礼などの大祝儀、あるいは日光参拝・万部経会などの大法事の際に、数日間、城内本丸の南庭の舞台で式能を催し、その第一日に江戸の名主(なぬし)家主(いえぬし)を五千余人召して陪観させたもの。町入り。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「町入能」の意味・わかりやすい解説

町入能
まちいりのう

町人能,御能拝見ともいう。江戸時代,幕府は能を武家の式楽として,町人には規制していたが,将軍宣下,官位昇進,幼君誕生,元服,婚礼,養君などの大きな祝儀,また日光参詣,万部経会などの重要な法事に催される能の,初日または最終日には,江戸の町人たちに特別の参観を許した。あらかじめ町触れによって通知し,人数,時刻,服装その他の心得を知らせ,朝5回,昼5回の交代で見せた。許された者は肩衣,袴を着けるのが決りで,舞台の脇正面の庭で拝観した。参入のときに雨傘1本,退出のときに酒と菓子などを与えられ,ほとんど無礼講に近く,役人の悪口や野次についても大目に見られたので,町人たちは競って拝観に出かけた。

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