決り(読み)キマリ

デジタル大辞泉 「決り」の意味・読み・例文・類語

きまり【決(ま)り/極まり】

物事が決まること。問題になっていたり面倒だったりした物事の終わり。決着。おさまり。「これで話は―だ」「仕事に―を付ける」
よりどころとして定められている事柄。規則。通則。「―を破る」「―に従う」
一定していること。いつものこと。定例。「散歩が朝の―だ」
(多く「おきまり」の形で)言動がいつも同じで新鮮味がないこと。また、きまり文句。「お―の自慢話」
面目体裁
「文三はお勢よりは―を悪がって口数をきかず」〈二葉亭浮雲
万事首尾よくいっていること。明和安永(1764~1781)ころの江戸の流行語
「『朧月おぼろづきと五色丹前を買って参りやした』『おお―』」〈洒・辰巳之園
遊里で、客と遊女が恋仲になること。また、その相手や間柄。
今夜のぬしの客衆はとんだ―だの」〈咄・くだ巻〉
[類語](2規則規約規程規定規律ルール本則総則通則細則付則定則概則おきて定め決定制度約束模範的象徴的代表的典型的標準的ティピカル模範手本規範モデル典型亀鑑規矩きく規矩きく準縄文範見本かがみ範例標本サンプル雛形ひながた書式好例適例スタンダードフォーマット王道師表基準規準り所類型定型様式化スタイルフォーマル公式正則正統正統派正調本式本格的正規正式まっと正道折り紙付き太鼓判をパーフェクト非の打ち所が無い完璧万全完全無欠傑出大出来紋切り型腐ってもたい/(4お定まりお決まり単調平板類型的・没個性的・一本調子千編一律モノトーンワンパターンマンネリステレオタイプ平凡ありきたり凡俗ありふれる普通一般一般的尋常通常平常通例標準標準的平均的つねただ当たり前常並み世間並み十人並み月並み凡庸日常茶飯日常茶飯事平平凡凡常套紋切り型芸がないノーマルレギュラースタンダード

さくり【決り/×抉り/×刳り】

土を掘り起こした所。また、その溝。うね。
流鏑馬やぶさめ笠懸かさがけなどの騎射のとき、馬を走らせる道として馬場に掘る浅い溝。馬決うまざくり。

しゃくり【決り】

《「さくり」の音変化》
中がくぼむように削ること。しゃくること。
おだてること。そそのかし操ること。
「是もやっぱり―かと気で気をとり直しては」〈洒・籬の花〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「決り」の意味・読み・例文・類語

きまり【決・極】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「きまる(決)」の連用形名詞化 )
  2. 決定。決着。
    1. [初出の実例]「それぢゃア確定(キマリ)だ」(出典当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉六)
  3. きちんとしていること。秩序。しまり。
    1. [初出の実例]「遊の節々に極(キマリ)なければ」(出典:滑稽本・風来六部集(1780)里のをだ巻評)
  4. 規則。制度。
    1. [初出の実例]「又、地券の御制度(キマリ)を設けられしも」(出典:開化のはなし(1879)〈辻弘想〉初)
  5. 一定していること。いつもそうであること。定例。
    1. [初出の実例]「貴様ははでな表具でどこへいき給ふ、きまりの御筋か」(出典:咄本・聞上手二篇(1773)染の介)
  6. 一定の額。
    1. [初出の実例]「定額(キマリ)だけ進(あ)げて置いた上はもう進げられません」(出典:付焼刃(1905)〈幸田露伴〉一)
  7. きまり文句。
    1. [初出の実例]「善六さん極(キマ)りを云ってらア」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉二〇)
  8. ( 「きまりがわるい」「きまりのわるい」の形で用いることが多い ) 他人に対する気持。面目。
    1. [初出の実例]「気まりを悪がって口数をきかず」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  9. 客と遊女が恋に陥ること。色事が成立すること。
    1. [初出の実例]「今夜のぬしの客衆は飛んだきまりだの」(出典:咄本・くだ巻(1777)客の噂)
  10. 物事がきちんと思い通りにまとまること。「しめた」「うまい」の気持で感動詞のように用いることもある。明和・安永(一七六四‐八一)頃の流行語。
    1. [初出の実例]「ヲヲ、きまり。粋(すひ)め。重さんどうでも、はだしじゃはだしじゃ」(出典:洒落本辰巳之園(1770))

さくり【決・抉・刳】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「さくる(決)」の連用形の名詞化 )
  2. 掘ること。また、掘った所。特に、鍬で土を打ち返した所。また、その溝。うね。
    1. [初出の実例]「山里のさくりの上にしりかけて小稲(をしね)こく間に雨ぞ降りぬる」(出典:行宗集(1140頃))
  3. 流鏑馬(やぶさめ)や笠懸(かさがけ)などの騎射(うまゆみ)のとき、馬を走らせるために馬場に設けた埒(らち)の間の道筋。
    1. [初出の実例]「今日騎射馬决浅馬頻走上」(出典:宇槐雑抄‐保延三年(1137)九月二四日)
  4. 馬などが通ったあとに、地面にできるくぼみ。また、その足跡。
    1. [初出の実例]「身を何となすのの原に顕はれ出しを狩人の、追つまくつつさくりにつけて」(出典:光悦本謡曲・殺生石(1503頃))
  5. 敷居(しきい)や鴨居(かもい)などに設けた戸をすべらせる溝。〔日葡辞書(1603‐04)〕

しゃくり【決・抉】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「しゃくる(決)」の連用形の名詞化 )
  2. 中がくぼむようにえぐること。
  3. うまいことを言って、人を欺いたり、そそのかしたり、おだてたりすること。
    1. [初出の実例]「桶ぶせといつは遣(やり)手がしゃくりなり」(出典:雑俳・川柳評万句合‐明和元(1764)仁一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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