町鑑(読み)まちかがみ

精選版 日本国語大辞典 「町鑑」の意味・読み・例文・類語

まち‐かがみ【町鑑】

  1. 〘 名詞 〙 市内町名位置などを記載した書物
    1. [初出の実例]「大たわけ町鑑で見る鳥の町」(出典:雑俳・柳多留‐七二(1820))

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百科事典マイペディア 「町鑑」の意味・わかりやすい解説

町鑑【まちかがみ】

近世都市の町名等の案内記で,三都(京都・大坂江戸)特有の出版物。〈京町鑑〉は1762年に刊行,京都の歴史・地理を概括し,町名と簡単な地誌的記事を付す。〈大坂町鑑〉は1756年に刊行,大坂三郷の町・橋・堀・川名をいろは順に配列し,位置を付記している。いずれもその後増補改訂版が出ている。〈江戸町鑑〉は版元別に万世(ばんせい)系と泰平系の2系統に分けられ,万世系は1729年刊行(1747年と1807年の二度増補改訂),泰平系は1842年から1860年まで毎年のように刊行された。町奉行所・町年寄名主などの市政名鑑を基本とし,町火消(まちびけし)関係記事や町名案内が増補された。〈京町鑑〉〈大坂町鑑〉は〈まちかがみ〉と読み,町名案内記であったのに対し,〈江戸町鑑〉は〈ちょうかん〉と読ませ,内容は市政名鑑・市政要覧で,性格を異にしていた。

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改訂新版 世界大百科事典 「町鑑」の意味・わかりやすい解説

町鑑 (まちかがみ)

江戸期~明治初年に三都(江戸,大坂,京都)等において板行された,町名その他を記した案内記。形態は竪本,横本ともにあるが,いずれも小本。江戸のものは各町が町名主の支配区域別に,大坂はいろは順,京都は南北東西の通りに従って配列され,内容も町域の説明や町由緒を記すもの,あるいは橋,堀,坂,火消組分担区域等を載せるものもある。三都ではおのおの数百から1000を超す町があり,その町名所在案内の必要性があって作られた。
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