画像通信とは,視覚情報を電気信号に変換し,これを受信側で可視像として再現する通信形態をいう。視覚は人間の五感のうちで情報伝達機能のもっとも優れたもので,人間が外部から受ける情報の60%は視覚からであるといわれている。
通信形態をC.E.シャノンの通信モデルに従って示すと図のようになる。このモデルにおいて,情報源から発生する画像情報はきわめて多様であり,動画像と静止画像,カラー画像と白黒画像,二次元画像と三次元画像など,さまざまに分類することができる。一方,受信者が画像を取得する形態には,紙などに永久記録されるハードコピーと,陰極線管(CRT)などに一時的に表示されるソフトコピーとがある。
光電変換装置は,画像情報を電気信号に変える装置で,レンズ系を通して光電面に画像を結像させ,その像を電気信号に変換するデバイスである。テレビジョンでは,電子管の一種である撮像管と固体撮像デバイスが画像入力装置として用いられている。撮像管には,光によって導電率が変化する光導電膜を用いた光導電形撮像管(ビジコン・プランビコン等)と,光照射によって電子を放出する光電面を用いたイメージ形撮像管がある。固体撮像デバイスでは,平面上に受光部と信号呼出し部からなる多数の画素を規則正しく並べ,受光部で光を電気信号に変換し,それを信号呼出し部で出力端に取り出している。ファクシミリでは,フォトダイオードを用いたMOS形イメージセンサー,光電変換と走査の機能を一体化したCCDセンサーなど固体撮像デバイスが用いられている。
面像信号変換装置は,画像情報を通信路を通して伝送するのにつごうのよい形の信号に変換して送信する装置である。一般に画像伝送系の所要周波数帯域は音声伝送に比べてきわめて大きくなるので,種々の帯域圧縮伝送方式が考えられている。とくに最近では光ファイバーケーブル-LSI技術の進歩を基礎として,通信網のディジタル化の進展が著しく,これに対応して各種情報圧縮符号化方式の国際標準が制定されている。
画像の表示記録にも種々の技術が用いられている。従来テレビジョンの表示にはもっぱらCRTが使われていたが,最近ではプロジェクション形の大型表示装置とか,液晶,プラズマディスプレーなどを用いた平面形表示装置も実用化されている。記録技術においても,従来用いられていた放電記録紙にかわり,静電記録紙,感熱記録紙などが実用化され,またインキジェット記録,熱転写記録,トナー現像など普通紙への記録技術も種々開発されている。
執筆者:南 敏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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