(読み)ユ

精選版 日本国語大辞典 「癒」の意味・読み・例文・類語

いる【癒】

  1. 〘 自動詞 ア行上一 〙 異常な状態などが収まる。落ち着く。多く「腹がいる」などの形で、怒りが解ける意にいう。
    1. [初出の実例]「藤七めが鼻の先で、さいなまねば腹が癒(イ)ぬ」(出典浮世草子・風流曲三味線(1706)四)

癒の語誌

「腹が立つ」に対する「腹がゐ(居)る」であったものが、「イ」と「ヰ」の混同によって「ゐ(居)る」が「い(癒)る」と意識されるようになって生じた語。→居(い)る

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「癒」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 18画

(旧字)
18画

(異体字)瘉
14画

[字音]
[字訓] いえる・やむ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は瘉(ゆ)。瘉は〔説文〕七下に「(い)ゆるなり」とあり、癒の初文。治瘉して心安らぐことを、愉という。〔孟子、公孫丑下〕に「今、小(すこ)しく(い)えたり」とあり、が治癒の義の本字。いま常用字表に、癒を治の字として出しているが、この字は古い字書にみえず、〔集韻〕に、瘉の或(ある)体として録するものである。わが国の古い字書にも、〔名義抄〕に瘉・字を録し、の字はみえない。に「すぐれる、まさる、いよいよ」などの訓があるので、を治の字と定めたものであろう。字解については兪・瘉・字条参照。

[訓義]
1. いえる、やむ。語彙は瘉・字条参照。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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