日本大百科全書(ニッポニカ) 「白川義員」の意味・わかりやすい解説
白川義員
しらかわよしかず
(1935―2022)
写真家。愛媛県宇摩郡金生(きんせい)村(現、四国中央市)に生まれる。1957年(昭和32)日本大学芸術学部写真学科を卒業後、ニッポン放送に入社、文芸部プロデューサーとして勤務。1959年フジテレビに移籍。1962年同社を一時休職し、中日新聞社の特派員として8か月間世界一周の写真取材を行う。同年12月退社し、フリーランスの写真家として活動を始める。以後精力的に世界中を取材し、写真集『ヒマラヤ』(1971)により毎日芸術賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞する。その後、地球がもつ美や神秘、荘厳さを追い求めた、「地球再発見による人間性の回復へ」と題するシリーズを展開。また、全米の41地域を取材した「アメリカ大陸」、聖書に登場する重要な場所251か所を取材した「新約聖書の世界」「旧約聖書の世界」、足かけ4年に及び取材した「中国大陸」、83日間を要して南極大陸を一周し取材した「南極大陸」などのテーマ、シリーズに取り組む。
1979年から1980年にかけての三部作「聖書の世界」(「新約聖書の世界」「旧約聖書の世界」「キリストの生涯」)により1981年全米写真家協会最高写真家賞を日本人として初めて受賞する。1988年菊池寛(きくちかん)賞受賞。1993年(平成5)南極大陸一周に成功し、そこで撮影した作品をまとめ『南極大陸』(1994)として出版。同作品で翌1995年日本芸術大賞受賞。
1997年以降は世界の山岳関係者が選定した「世界百名山」プロジェクトに着手。2001~2002年(平成13~14)、世界の名峰127座をカメラに収め、『世界百名山』を刊行。
1999年紫綬褒章(しじゅほうしょう)を受章。2000年東京・新宿高島屋を皮切りに「白川義員写真展 世界百名山」が全国を巡回。2001年国際連合郵政局発行の記念切手に、日本人としては初めて『世界百名山』の写真が選ばれた。開催した展覧会は100を超える。
[関次和子]
『『アルプス』(1969・講談社)』▽『『アメリカ大陸』(1975・講談社)』▽『『白川義員山岳写真全集』全6巻(1982~1983・小学館)』▽『『中国大陸』上下(1984・小学館)』▽『『神々の原風景』(1985・学習研究社)』▽『『仏教伝来』全3巻(1986~1987・学習研究社)』▽『『南極大陸』上下(1994・小学館)』▽『『白川義員作品集 世界百名山』全3巻(2001~2002・小学館)』