白蔵主(読み)ハクゾウス

関連語 つう 名詞 実例

精選版 日本国語大辞典 「白蔵主」の意味・読み・例文・類語

はく‐ぞうす‥ザウス【白蔵主・伯蔵主】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 禅宗で、経蔵を管理し、教学にも通じている僧の称。蔵主(ぞうす)
    2. 広く、老狐の化けた者の称。
      1. [初出の実例]「いっかないかなそれほどの化し手は並や通途(つうず)の白蔵主(ハクゾウス)にはあらず」(出典:談義本・艷道通鑑(1715)五)
    3. 狂言面の一つ。狂言「釣狐(つりぎつね)」に用いる。僧に化けた狐の、人間との混在した表情を表わす。〔わらんべ草(1660)〕
      1. 白蔵主<b>[ 一 ]</b><b>③</b>
        白蔵主[ 一 ]
  2. [ 2 ] 狂言「釣狐」の登場人物の名。猟師の殺生をやめさせるため、老狐が猟師の伯父の僧に化けたもの。一説に、永徳年間(一三八一‐八四)の頃、和泉国(大阪府南部)大鳥郡小林寺耕雲庵に住み、霊性をそなえる三匹の野狐を愛育して、常に身辺に飼っていたと伝えられる僧を素材にしたといわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の白蔵主の言及

【釣狐】より

…大蔵,和泉両流にある。一族の狐がつぎつぎと猟師に捕らえられ,今やわが身もねらわれている老狐が,猟師の伯父である白蔵主(はくぞうす)という僧に化けて,猟師の家を訪れる。白蔵主は妖狐玉藻前(たまものまえ)の伝説を物語り,狐の執心の恐ろしさを強調し,猟師に罠(わな)を捨てさせることに成功する。…

※「白蔵主」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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