改訂新版 世界大百科事典 「皮内反応」の意味・わかりやすい解説
皮内反応 (ひないはんのう)
intracutaneous test
抗原の小量を皮内に注射したとき,これによって皮膚が発赤,膨疹を起こす反応。これを利用して生体のアレルギー状態や免疫状態を知り,病因となる抗原の確定や病気の診断に用いる。ツベルクリン反応もこれである。アレルギー性疾患の特異的抗原の検索には,抗原と考えられる室内塵,ダニ,花粉,カビ,食物などの抽出液の適当な濃度の液0.02mlを用いる。判定は注射後約20分で発赤と膨疹を測定して行う。対照に比較して明らかに大きな反応であれば陽性とみなす。反応が大きければ大きいほど,そのものが病的抗原である可能性は大きい。とくに偽足をもった反応がみられる場合にはその可能性が高い。しかし,陽性であっても病因的抗原ではないことがあり,また病因になっていても陰性のこともある。このような例は食物性抗原でより多く認められる。食物の場合には体内での代謝物が病因となっていることがあるためである。またペニシリンなどの薬物では,たとえ陰性であってもショックを誘発することがありうるので注意が必要である。アルチュス型の反応の場合には,注射後数時間で皮内反応は極大をしめすので数時間後に判定する。ツベルクリン反応,ヒストプラスミン,コクシジオイジン,ブラストマイシンのような遅延型反応の場合には,0.1mlを注射し,24~48時間後に判定する。アルチュス型および遅延型反応では,硬結と膨疹による反応が主体である。検査の個所は前腕内側,上腕外側が多く用いられている。
→アレルギー
執筆者:宮本 昭正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報