逮捕罪と同様に、人の身体活動の自由を拘束する罪。監禁罪は、一定の場所からの脱出を不可能または著しく困難にする場合であるが、逮捕罪は人の身体に直接的な支配力を及ぼすことにより成立する(刑法220条)。両者をあわせて逮捕監禁罪という。監禁罪は部屋に鍵(かぎ)をかけて閉じ込めるなど物理的・有形的方法のほか、被害者を自動車やオートバイに乗せて疾駆するなど被害者の恐怖心や錯誤を利用する心理的・無形的方法でも成立する。ただ、監禁罪における自由の意義について、可能的自由説と現実的自由説との争いがある。可能的自由説の立場からは、外形的に一定の場所からの脱出を不可能または著しく困難にすることで足りるとされるから、本罪の被害者は、幼児、泥酔者、精神障害者などでもよいし、監禁の事実を認識したり、被害意識を有する必要もないとされる。これに対して、現実的自由説では、一般的に、被害者が一定の意思能力を要するほか、監禁の事実を認識したり、被害意識を有することが必要であるとされる。学説では、かつては可能的自由説が支配的であったが、今日では現実的自由説が多数説である。ただし、下級審判例のなかに、生後約1年7か月の幼児について、自然的・事実的な意味で任意に行動しうる者であれば、監禁罪により保護すべき客体となりうるとしたものがある。
[名和鐵郎]
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…不法に人を逮捕または監禁する罪で,3ヵ月以上5年以下の懲役に処せられる(刑法220条)。また,逮捕・監禁により人を傷つけまたは死なせたとき(221条)は,傷害の罪に比較して重いものに従って処断される。逮捕とは身体を直接拘束して,また監禁とは一定の場所からの脱出を著しく困難にして,それぞれ移動の自由を奪うことをいうが,どちらも同じ条項で同じ刑罰が科されるから,区別は重要でない。自動車に乗せて疾走することも監禁の方法となりうる。…
※「監禁罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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