逮捕または監禁によって行動の自由、すなわち人の身体活動の自由を侵害する罪で、3月以上7年以下の懲役に処せられる(刑法220条)。「逮捕」とは、人の身体に直接的支配を及ぼすことをいい、「監禁」とは人が一定の区域から脱出することを不可能または著しく困難にすることをいう。他人を羽交い絞めにしたり、手足をロープで縛るような場合は逮捕にあたり、部屋に入れ施錠したり、暴行・脅迫して脱出を妨げる場合などが監禁にあたる。自動車の中やオートバイの荷台に乗せ、疾走して脱出できないようにするのも監禁にあたりうる。自己または配偶者の直系尊属(父母や祖父母など)に対して逮捕監禁の罪を犯したときは刑罰を加重する規定があったが、法の下の平等に反するという考えから、1995年(平成7)の刑法改正により削除された。なお、適法な逮捕監禁の例として(1)刑事訴訟法の定める手続により令状をもって逮捕、拘引、拘留する場合、(2)精神保健福祉法の規定により精神障害者を入院措置する場合などがある。
[名和鐵郎]
不法に人を逮捕または監禁する罪で,3ヵ月以上5年以下の懲役に処せられる(刑法220条)。また,逮捕・監禁により人を傷つけまたは死なせたとき(221条)は,傷害の罪に比較して重いものに従って処断される。逮捕とは身体を直接拘束して,また監禁とは一定の場所からの脱出を著しく困難にして,それぞれ移動の自由を奪うことをいうが,どちらも同じ条項で同じ刑罰が科されるから,区別は重要でない。自動車に乗せて疾走することも監禁の方法となりうる。被害者や目撃者など私人が現行犯人を逮捕してもこの罪は成立しないが,それは〈不法に〉逮捕したのではないからである。このような適法な逮捕・監禁としては,刑事訴訟法の定める令状による逮捕,勾引,勾留のほか,伝染病予防法の定める患者の強制入院,精神保健福祉法(旧,精神衛生法)の定める精神障害者の入院措置,民法の定める親権者が子を懲戒場に入れる行為などがある。
執筆者:田中 利幸
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