意思能力(読み)いしのうりょく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

意思能力
いしのうりょく

法律行為が有効であるためには,行為者が自分の行為の結果を識し判断できる精神的な能力をもつことを必要とするが,この精神的な判断能力を意思能力という。意思能力を欠く (幼年者および精神障害者) がなした法律行為は無効であり,その不法行為は責任を生じない。意思能力の有無は,各人の具体的な行為ごとに個別的に判断しなければならないが,一般的にいえば,財産行為については満7歳程度から,身分行為については満 15歳程度から,意思能力を有するものと考えられている。 (→行為能力 )

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百科事典マイペディアの解説

意思能力【いしのうりょく】

法律用語。自己の行為の意味や結果を判断し得る精神的能力。大体8歳未満の幼児およびある種の精神病にかかっている者は意思能力がなく,また通常人でも泥酔中・失神中は意思能力がない。私的自治の原則によって,意思能力のない者のした法律行為は無効であり,制限能力者であれば法定代理人が代わって行う。またこれらの者が不法行為をしても責任を負わず,監督義務者が代わって責任を負う(民法712〜714条)。→責任能力行為能力
→関連項目意志成年後見制度無効無能力者

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世界大百科事典 第2版の解説

いしのうりょく【意思能力 Willensfähigkeit[ドイツ]】

通常人が正常な状態で有する心理的・精神的能力をさし,幼少者とか,ある種の精神病にかかっている者とか,高熱・泥酔等のために意識不明に陥っている者などは,この能力を欠く。債務不履行・不法行為との関係では〈責任能力〉と呼ばれるのが普通である(民法712,713条参照)。私有財産制度のもとでは,各個人は原則として自分の生活関係を自分だけの意思で支配決定することが可能とされる(いわゆる〈私的自治の原則〉)。しかし,そのためには各個人が通常人なみの正常な意思決定の能力を有することが必要であり,したがって,日本民法中には明文規定がないが,たまたま行為者がこの能力を欠く場合には,いかなる法律効果も当該行為からは発生しない,と判例・通説上解されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

意思能力
いしのうりょく

法律上、自分の行為の意味や結果を判断することのできる精神能力。一般にだいたい10歳になれば意思能力を備えるものと考えられるが、現行民法には年齢についての画一的な規定がないので、行為の種類に応じて個別的に意思能力の有無を判断するほかない。幼児や泥酔中あるいは失神中の者には意思能力がなく、こうした者の行った法律行為は無効とされ、判例・学説ともに法律上の効果を認めていない。

 なお、不法行為においても、不法行為者がその行為の責任を知るのに十分な知的能力がない場合(意思能力のない場合)には、責任が発生しないものとされている(民法712条・713条)が、いずれも人の意思を重視する(私的自治の原則)近代民法の基本原理の表れである。

[高橋康之・野澤正充]

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精選版 日本国語大辞典の解説

いし‐のうりょく【意思能力】

〘名〙 自己の行為の結果を認識、判断できる精神能力。〔現代文化百科事典(1937)〕

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