相互依存論(読み)そうごいぞんろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「相互依存論」の意味・わかりやすい解説

相互依存論
そうごいぞんろん

経済を中心とした相互依存 interdependenceをめぐる政治という面から国際社会の急速な変化をとらえようとする理論。 1970年代前半に登場した。相互依存という言葉が国際政治および国際政治史で登場したのは 10年代であるが,国際関係の学術用語として頻繁に使用されはじめたのは 60年代以降である。当時,国際社会における相互依存の拡大に比例して,国際関係で経済の重要性が増し,また国際行為体も主権国家だけではなく,多国籍企業非政府組織 NGOなど非国家的行為体の役割が重要になってきた。このような国際社会の新たな変化を受けて,国際秩序を国家中心,軍事力中心だけではとらえきれなくなり,相互依存を体系化する動きがアメリカの国際政治学会を中心に起った。相互依存論には相互依存を構造論的にとらえる見方と,ゲーム論的,すなわち国々の対外政策に及ぼす変化の面からとらえる見方に分れる。前者に R.O.コヘインと J.S.ナイによる"Power and Interdependence:World Politics in Transition" (1977) ,後者に S.ホフマンの"Primacy or World Order:American Foreign Policy since the Cold War" (1978) などの著作がある。今日,国際社会の相互依存はますます多様化・深化し,相互依存論の課題は多方面にわたっている (→相互依存) 。

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