相撲髷(読み)すもうまげ

改訂新版 世界大百科事典 「相撲髷」の意味・わかりやすい解説

相撲髷 (すもうまげ)

力士結髪のこと。力士の髷は,1871年(明治4)8月に断髪廃刀令が実施されたとき,相撲界にも断髪が当てはめられようとしたが,ときの明治政府の長官の中に好角家が多くいて,力士風俗として結髪を従来どおり許すこととなり,今日にまで及んでいる。それ以前は,時代の習慣風俗によって,それぞれの形に結髪したものである。江戸時代に入り,多くの力士は大名の召抱えになって士分格にとりたてられた関係から,武士に準じた髷を結ったが,とりたてて大きな相違はなかった。幕末のころから流行しだした大銀杏髷(おおいちようまげ)が82年ころから力士髷の標準になった。当時は三段目力士以上が結うことができたが,それ以下は丁髷(ちよんまげ)を結うことになっていた。現在では十両以上の力士に大銀杏髷が許され,幕下以下はすべて丁髷で,いまはこの2種類しかない。大銀杏髷というのは髷を元結(もとゆい)で結わえたところから後につきでた〈一〉の折り曲げた部分が,イチョウの葉の形をしているところからいわれている。時代によって髷も〈たぼ〉もだんだん小さくなって,全体が小さく結い上げられるようになった。栗髷は全体の形がやや小さく栗の形をしており,昭和の初期あたりまで見られた。これら力士の髷は相撲独特の古風を伝えるだけでなく,力士の風姿をととのえ,また髷によって,頭部にうけるかもしれない不測傷害を防ぐためのものともされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「相撲髷」の意味・わかりやすい解説

相撲髷
すもうまげ

力士の結髪。土俵上では十両以上になると大銀杏 (おおいちょう) 髷,幕下以下は,いわゆる丁髷 (ちょんまげ) を結う。江戸時代には,丁髷から野郎髷,櫓落し総髪男髷が結われた。現在の相撲髷は明治に入ってから定められたもので,伝統と傷害よけのために結われる。

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