総髪(読み)ソウゴウ

デジタル大辞泉 「総髪」の意味・読み・例文・類語

そう‐ごう〔‐がう〕【総髪】

《「そうがみ」の音変化》「そうはつ(総髪)」に同じ。
前髪の首を―にして渡さうとは」〈浄・千本桜

そう‐はつ【総髪/×惣髪】

男子髪形の一。月代さかやきを剃らず、髪を全体に伸ばし、頭頂で束ねたもの。束ねずに後ろへなでつけて垂らしたものもいう。江戸時代医者儒者山伏などが多く結った。そうがみ。そうごう。

そう‐がみ【総髪】

女性の髪の結い方の一。かもじを使わないで自分の毛で結うもの。
そうはつ(総髪)

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精選版 日本国語大辞典 「総髪」の意味・読み・例文・類語

そう‐ごう‥がう【総髪】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「そうがみ(総髪)」の変化した語 )
  2. 月代(さかやき)をそらないで、のばした髪を後ろでたばねて結った髪型。そうはつ。〔書言字考節用集(1717)〕
    1. [初出の実例]「前髪の首を惣髪(ソウガウ)にして渡さふとは、了簡違のあぶない所」(出典:浄瑠璃・義経千本桜(1747)三)
  3. 当世兜(かぶと)一つ。鉢に植毛(うえげ)をして総髪になでつけた変わり鉢の兜。
    1. 総髪<b>②</b>〈武用弁略〉
      総髪〈武用弁略〉
    2. [初出の実例]「甲冑〈略〉惣髪(ソウガフ)」(出典:武用弁略(安政再板)(1856)五)

そう‐はつ【総髪・惣髪】

  1. 〘 名詞 〙 男の結髪の一つ。額の上の月代(さかやき)を剃らず、全体の髪を伸ばし、頂で束ねて結ったもの。また、後ろへなでつけ垂れ下げただけで、束ねないものもいう。江戸時代、医者・儒者・浪人神官・山伏などが多く結った髪型。四方髪。なでつけ。そうがみ。そうごう。
    1. 総髪〈守貞漫稿〉
      総髪〈守貞漫稿〉
    2. [初出の実例]「此国の人皆頭を丸め、折に惣髪(ソウハツ)なるもあり」(出典:談義本・風流志道軒伝(1763)四)

そう‐がみ【総髪】

  1. 〘 名詞 〙
  2. そうはつ(総髪)
    1. [初出の実例]「そうがみ、なでつけ、つくりひげ」(出典:評判記・古今役者物語(1678))
    2. 「惣(ソウ)髪の茶仁ていのもの来り」(出典:咄本・楽牽頭(1772)途中の目礼)
  3. 女性の髪の結い方の一つで、かもじを使わないで自毛で結った髪。
    1. [初出の実例]「総髪(ソウガミ)銀杏返しに結ってゐるのが仇っぽくて」(出典:俳諧師(1908)〈高浜虚子〉七一)

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普及版 字通 「総髪」の読み・字形・画数・意味

【総髪】そうはつ

あげまき。総角。晋・陶潜〔戊申の歳六月中、火に遇ふ〕詩 髮より介をき 奄(たちま)ち四十年を出づ 形迹、に憑(よ)りてくも 靈府長く獨り(しづ)かなり

字通「総」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「総髪」の意味・わかりやすい解説

総髪
そうはつ

幕末から明治維新にかけて、男子に行われた髪形。月代(さかやき)を剃(そ)り上げることなく、髪全体を束ねたところからの名称。さらに、髪を束ねずに、後方になでつけたものをもいう。この髪は公家(くげ)、医者、学者、山伏、あるいは明治維新に活躍した志士たちが結った。公家は、紫組紐(くみひも)で髪を束ねるのが特色である。志士たちは、国事に日夜東奔西走している関係から、月代を剃る本多髷(ほんだまげ)よりも、手のかからぬ髪形を必要としたためである。

[遠藤 武]

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百科事典マイペディア 「総髪」の意味・わかりやすい解説

総髪【そうはつ】

男子の髪形の一つ。月代(さかやき)をそらず全体に髪をのばし,後ろへたらすか髻(もとどり)を結ぶ形。平安時代の冠下の髻なども総髪だが,一般には江戸時代の学者,浪人山伏などが用いた髪形をいう。幕末には尊攘志士の間にもっぱら行われた。

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