( 1 )「ま」は完美な、まったきの意の接頭語。「万葉集」や「古今集」の例は「まかねふく」という枕詞の形で見られる。同項の挙例「万葉‐三五六〇」は当時盛んであった造仏(大仏等)の際に、仏像への鍍金(葺く)の過程で金を水銀によって液状化して用いた(アマルガム法)ところから、水銀の産地である丹生にかける枕詞の用法として出てきたものであり、この「まかね」は黄金をいう。
( 2 )鉄とする解釈は、「まかねふく②」の挙例「古今‐神あそびの歌」の理解から出たものと思われる。吉備国が著名な鉄の産地(久米郡久米町の大蔵池遺跡、他)であったところから、「まかね」が鉄と理解され、古今伝授の中で伝えられていった。
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