矢(漢字)

普及版 字通 「矢(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音]
[字訓] や・ちかう・つらねる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
矢の鏃(やじり)のある形。〔説文〕五下に「弓弩の矢なり。入に從ひ、(たく)・(くわつう)の形に象る」とするが、〔説文〕にいう入の形は鏃(やじり)。字の全体が象形である。「矢(ちか)ふ」とよむのは、古く誓約のときに矢を用いることがあったのであろう。誓は矢を折る形に従い、知・智も矢に従う。また「矢(つら)ぬ」とよむのは、施・肆と同音で、その義に通用するのであろう。

[訓義]
1. や、やがら。
2. ちかう、ただす。
3. 施・肆と通じ、つらねる、ならべる。
4. 屎(し)と通じ、くそ、便。
5. 弛と通じ、ゆるむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕矢 ヤ・チカフ・ツラヌ・ツラナル・ソフ・イル・ツツシム・チカシ・マサシ・ノブ・ホドコス

[部首]
〔説文〕に・侯・知・矣など九字、〔新附〕に矮を属し、〔玉〕に(矩)・矧など十字を加える。はもと射る形の字で、弓と矢と(又)とに従う。侯はもとに作り、廡下に矢を放つ祓禳儀礼を示す字。知は祝詞に矢をそえ、また矣は厶(し)((すき))に矢をそえて祈る儀礼をいう。矢はそのような神事や呪儀に用いた。

[声系]
〔説文〕に矢声として雉・疑・疾・(てい)など五字を収めるが、矢と同声の字はない。疾の初文は人が腋(わき)の下に矢を受けている形。は矢が豕(いのこ)を貫く形で、ともに象形。疑は人が反顧して凝立する形で、矢の形を含まない。また雉は鳥占(とりうら)の法を示すものであるらしく、その字はまた夷((いぐるみ)の形)に従い、軍功の得失を卜したものであろう。卜辞に「衆を雉(うしな)はんか」と卜する例がある。

[語系]
矢sjiei、肆sietは声近く、矢にも矢陳、肆(つら)ねるの意がある。

[熟語]
・矢矢幹・矢魚矢言・矢師矢疾・矢心矢刃・矢人矢誓・矢石矢蔵矢鏃・矢直・矢・矢夫・矢服・矢矢鋒矢房
[下接語]
遺矢・雨矢・銜矢・弓矢・棘矢・勁矢・矢・孤矢・矢・矢・矢・舎矢・乗矢・折矢・接矢・矢・束矢・鏃矢・抽矢・注矢・矢・発矢・飛矢・矢・矛矢・流矢・弄矢

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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