矢大神(読み)ヤダイジン

デジタル大辞泉 「矢大神」の意味・読み・例文・類語

や‐だいじん【矢大神/矢大臣】

神社随身門ずいじんもんに安置してある2体の神像うち、向かって左方の神像の俗称。⇔左大神。→随身門
《姿が1に似ているところから》居酒屋で、空樽あきだるに腰掛けて酒を飲むこと。また、その人。
「場所柄も弁別わきまえぬ縞の羽織の―」〈鏡花・白鷺〉

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精選版 日本国語大辞典 「矢大神」の意味・読み・例文・類語

や‐だいじん【矢大神・矢大臣】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 神社の随身門に安置されている二つの神像のうち、向かって左方の守護神像の俗称。闕腋(けってき)の袍(ほう)を着て、巻纓(けんえい・まきえい)の冠をつけ剣を帯し弓矢をもち、中古の五位以上の武官と同様、正式な随身の服装をするもの。もと寺の仁王天に擬したもので、神社の正格ではないとされる。⇔左大神
    1. [初出の実例]「矢大臣や弓弦かけてねらひ狩〈久友〉」(出典:俳諧・桜川(1674)夏二)
  3. 居酒屋や煮売屋など、店先で腰掛けて酒を飲ませる店。安酒の一杯のみ屋。
    1. [初出の実例]「笑ふたる方が振廻ふ矢大臣」(出典:雑俳・友千鳥(1752))
    2. 「おらあ角の矢大臣で一合ときめよう」(出典:滑稽本・客者評判記(1811)下)
  4. 居酒屋などで腰をかけて飲むこと。また、その人。
    1. [初出の実例]「居酒屋の見世に呑でる矢大臣」(出典:雑俳・柳多留‐六四(1813))

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