短時間正社員(読み)たんじかんせいしゃいん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「短時間正社員」の意味・わかりやすい解説

短時間正社員
たんじかんせいしゃいん

1日の所定労働時間8時間程度で週5日勤務を基本とする正規型フルタイムの労働者に比べ、所定労働時間(日数)が短い正規型の労働者。パートタイマーアルバイトとは異なり無期労働契約を結び、フルタイム正社員を基準に就業時間に比例した待遇を受ける。厚生労働省が2008年(平成20)ころから強化している正社員雇用促進策の一つで、育児介護などさまざまな制約によって就業を継続できなかった人に就業機会を与えるとともに、企業にとっても労働人口が減少するなか、優秀な人材を確保し有効活用することができるものである。企業内において、このような働き方を就業規則等に制度化することを「短時間正社員制度」とよぶ。短時間正社員の働き方は、1日の所定労働時間を短くする(1日5時間で週5日勤務等)、1週間の所定労働日数を短くする(1日8時間で週4日勤務等)などの例がある。また、短時間正社員には、育児や介護などのため一時的に正社員から短時間正社員へ移行するタイプ、地域活動への参加や健康への配慮などのため、恒常的に正社員から短時間社員へ移行するタイプ、パートタイマーから正社員に登用され、恒常的に短時間社員として働くタイプがある。短時間正社員制度を設けて実際に雇用を行った場合には「短時間労働者均衡待遇推進等助成金」を受け取れるなどの優遇策も設けられている。また、厚生労働省は短時間正社員制度の導入支援のため、職業紹介事業を行う民間企業に委託して制度の情報提供を行う支援サイト「短時間正社員制度導入支援ナビ」を開設し、企業への積極的な利用を呼びかけている。

 政府は、非正規社員から正社員への転換を推し進めると同時に、多様な労働形態を認めることが企業の競争力強化につながると提言。とくに、短時間正社員制度の普及を促すことで、女性や高齢者などの能力を積極的に生かすよう求めている。

[編集部]

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