改訂新版 世界大百科事典 「石谿」の意味・わかりやすい解説
石谿 (せきけい)
Shí xī
生没年:1612-74
中国,明末・清初の僧,画家。僧名の髠残(こんざん)でも呼ばれる。号は石道人,残道人,介邱(かいきゆう),白禿(はくとく)など。俗姓は劉氏。幼少のとき父母を失い,諸地方を遍歴し,40歳ころに金陵(南京)報恩寺の覚浪に参禅し,牛首山(ごしゆせん)幽棲寺の住持となった。明遺民として限られた友人の周亮工や程正揆が石谿伝を記している。画作は康煕初年(1660年代)に多く集中しており,乾筆擦皴(さつしゆん)による山水図は,当時から〈元人(げんびと)の勝概を得た〉と評された。八大山人,弘仁とともに〈明末三和尚〉,石濤とともに〈二石〉と呼ばれ,遺民画家を代表する。代表作に《報恩寺図》(1663,京都泉屋博古館)ほかがある。
執筆者:新藤 武弘
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