石蹴り(読み)イシケリ

デジタル大辞泉 「石蹴り」の意味・読み・例文・類語

いし‐けり【石蹴り】

地面にいくつかの円や四角を書き、その中に片足で飛び跳ねながら平らな小石などを次々と蹴り入れて、早く全部を回ったものを勝ちとする遊び。

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改訂新版 世界大百科事典 「石蹴り」の意味・わかりやすい解説

石蹴り (いしけり)

石を蹴って行う遊びの総称。時代,地方により遊び方を異にし,それに応じて名称もさまざまである。例えば〈うさぎとかめ〉〈おんせん〉〈くらとり〉など枚挙にいとまないが,遊び方は次の2種に大別される。(1)地床に任意の数の区画を描き,その手前一線を引く。そこから第1の区画に石を蹴り入れ,片足跳びでその区画に入り,石を線外に蹴り戻す。以下同様にして全区画を早く完了した者が勝ち。(2)(a)第1の区画に石を投入し,その石を蹴りながら全区画を跳び回る。(b)第1の区画に石を投入したら,その区画を跳び越して全区画を跳び,石のある区画に戻って,蹴り出すか手にとって区画外に出る。区画数や形状も多様だが,基本の型で類別すると,角型,円型,渦巻型,コース型の4種となる。これらが任意に複合され,単純な組合せからきわめて複雑な組合せとなり,その数は何百種にも及んでいる。石蹴りは男女ともどもの遊びとして人気を博し,洋の東西を問わず子どもの世界に定着した代表的遊びである。イギリスのK.グリーナウェーの《ゲームの本》(1889)にホップスコッチhopscotchの名称で,日本とまったく同じ遊びが記されている。
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百科事典マイペディア 「石蹴り」の意味・わかりやすい解説

石蹴り【いしけり】

石を蹴って遊ぶ遊びの総称。石蹴り遊びの名前や方法は時代や地方によってさまざまであるが,遊び方はおおよそつぎの3種に整理することができる。(1)地面に4区画,6区画などの枡(ます)目の区画を描き,その手前に線を引いて,その手前から石を第1の区画に蹴り入れ,片足とび(けんけん)でその区画に入り,石を線の手前に蹴り出す。これに成功すれば,続けて第2の区画へと進む。早く全部の区画を制覇した者が勝ち。(2)第1の区画に石を投げ入れて,その石を片足とびで蹴ってつぎの区画に進み,早く全区画を通過した者が勝ち。(3)第1の区画に石を投げ入れたら,その区画を抜かしてつぎの区画に片足とびで入り,全区画をまわってから石のある区画に入り,石を蹴り出すか手に持って区画の外に出る。地面に描かれる区画の数や形はさまざまであるが,基本的には長方型,円型,三角型,渦巻き型,コース型などである。これらを任意に組み合わせて,より複雑な区画を描くこともある。石蹴り遊びは,洋の東西を問わず,子どもたちに好かれた代表的な遊びである。ヨーロッパの石蹴り遊びの区画は6区画の上に半円を描き,キリスト教の初期教会の建築様式であるバシリカを描いたものが基本である。石蹴り遊びのことを,イタリアでは〈楽園〉,スコットランドでは〈礼拝所〉,ドイツでは〈天国地獄〉と呼ぶが,この遊びがキリスト教文化と深い関係があることを示している。

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