神室山(読み)カムロサン

デジタル大辞泉 「神室山」の意味・読み・例文・類語

かむろ‐さん【神室山】

秋田県湯沢市と山形県新庄市・最上郡金山町の境にある山。標高1365メートル。神室山地主峰で、「みちのくの小アルプス」といわれる。山麓ブナ原生林山岳信仰の山として知られる。栗駒国定公園一部

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日本歴史地名大系 「神室山」の解説

神室山
かむろさん

奥羽山脈の一部を形成する神室山地の主峰で、標高一三六五・二メートル。山頂は新庄市・金山かねやま町・秋田県雄勝おがち郡雄勝町の境界にあたり、山域には前述三市町のほか真室川まむろがわ町・最上町・宮城県玉造たまつくり鳴子なるこ町が含まれる。南方小又こまた(一三六六・七メートル)より標高では若干低いものの、北西前神室まえかむろ(一三四二・二メートル)を従えてピラミッド形に突出する姿は神室山地主峰にふさわしい。秋田県側ではかぶら山・鏑岳(文化一二年「秋田風土記」など)ともよばれている。天平九年(七三七)鎮守府将軍大野東人は陸奥多賀たが(現宮城県多賀城市)から出羽柵(秋田城、現秋田市)に向かって直路を開くために進軍、四月四日「賊地比羅保許山」に駐屯している(「続日本紀」同年四月一四日条)


神室山
かむろやま

山形県との県境にあり、標高一三六五・二メートル。

古代には比羅保許ひらほこ(平戈山)とよばれた。「続日本紀」天平九年(七三七)四月一四日条に「従比羅保許山ルマテ 雄勝村五十余里、其間亦平ナリ、唯有ツノ、毎水漲ルニ渡 、四月四日、軍屯賊地比羅保許山」とあり、比羅保許山を境に北は賊地とされていた。同書天平宝字三年(七五九)九月二六日条によれば陸奥国からの街道に平戈ひらほこ(現山形県最上郡金山町)横河よこかわ(現横堀よこぼり寺沢てらさわ付近)などの駅家が置かれ、比羅保許山はこの二つの駅の間にある山ということで定着している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の神室山の言及

【神室山地】より

…主として安山岩,凝灰岩などの第三紀層からなるが,基盤の花コウ岩が露出するところもある。神室山(1365m)と軍沢(いくさざわ)岳(1194m)を結ぶ稜線を中心にして,標高1100~1300m前後の定高性山稜が四方にのびる。東へは国道108号線の通る鬼首(おにこうべ)峠をはさんで虎毛山,須金岳,山猫森などを経て栗駒山(1628m)まで,北へは前神室山,水晶森,黒森などが連なって雄勝(おがち)峠に,南西へは天狗森,小又山,火打岳などの山稜,南東へは大鏑(おおかぶら)山,小鏑山(禿(かむろ)岳),大柴山からスキー場のある花淵山まで,それぞれ急峻な山容を伴う壮年山地の山岳景観が展開する。…

※「神室山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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