宮城・山形・秋田3県の県境が会する付近に広がる地塊山地で,奥羽山脈の一部を構成する。主として安山岩,凝灰岩などの第三紀層からなるが,基盤の花コウ岩が露出するところもある。神室山(1365m)と軍沢(いくさざわ)岳(1194m)を結ぶ稜線を中心にして,標高1100~1300m前後の定高性山稜が四方にのびる。東へは国道108号線の通る鬼首(おにこうべ)峠をはさんで虎毛山,須金岳,山猫森などを経て栗駒山(1627m)まで,北へは前神室山,水晶森,黒森などが連なって雄勝(おがち)峠に,南西へは天狗森,小又山,火打岳などの山稜,南東へは大鏑(おおかぶら)山,小鏑山(禿(かむろ)岳),大柴山からスキー場のある花淵山まで,それぞれ急峻な山容を伴う壮年山地の山岳景観が展開する。国道108号線沿いには間欠泉で有名な鬼首,秋田県側には役内(やくない)川に沿う稲住,湯ノ岱(ゆのたい)などの温泉があり,登山基地ともなっている。
執筆者:中村 嘉男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
宮城、山形、秋田3県にまたがる山地。主峰は神室山(1365メートル)で、山稜(さんりょう)は四方に延び、東は栗駒山(くりこまやま)に、南は大鏑山(おおかぶらやま)、小鏑岳を経て花淵山(はなぶちやま)に、西は秋田・山形県境に沿って雄勝(おがち)峠に、北は虎毛山(とらげやま)から高松岳に至る。脊梁(せきりょう)山地特有の激しい地殻変動と複雑な地質構造を反映して、高度のわりに急峻(きゅうしゅん)な山容を呈している。奥羽山脈の奥深くに位置することから、登山者も比較的少ない。1965年(昭和40)宮城県から秋田県役内(やくない)川に通ずる国道108号が開通し、観光開発も進みつつある。
[宮崎禮次郎]
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